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愚者:40歳からでも人生は変えられる  作者: 白明


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13.The Death(死神)

キンドル作家というものになった。

世に、いや、ネット上に私の書籍が出版された。

表現者としての一歩を歩みはじめた。


私の本が読まれる。高揚感と、達成感に浸る。

なにより私の想いと思考が誰かに読まれるという喜び。

そこが最も興奮する。

自己承認欲求?

自己理解?

そうかもしれない。


私がキンドル作家になり、最も嬉しいこと。

私が紡いだ言葉を誰かが受け止める。

これに尽きる。

心に響かなくてもいい。

参考とされなくてもいい。

だけど、見知らぬ人の瞼にちょっとでも触れるこができる。

私の稚書が。


言いようのない興奮と、自分自身に向ける期待感。

「きもちいい。そして、やめられない……」



キンドル本の印税形式はちょっと特殊だ。

アマゾンでキンドル本を出版すると、著者に出版用のページが割り当てられる(KDPという)。

このページでは、出版したキンドル本の管理や修正、価格の設定などができる他、三カ月に五日間だけ無料で本を配布する無料キャンペーンなどの企画も打つことができる。


他にも 一日にどの本が何ページ読まれたか、印税がおおよそいくらになるかの試算もしてくれる。

読まれたページ数を著者が把握できるというのが、この電子書籍のいいところだ。


商業出版の本の場合、販売部数や再版により、その印税が支払われる。

しかし、キンドル本の場合はちょっと特殊だ。

一冊売れれば、設定した価格の七割の印税が著者に支払われる。


さらにキンドル・アンリミテッドに登録すると、会員は、無料で本を読むことができる。

この際、読まれたページ数の五割から四割が印税となるのだ(二千二十三年四月現在、四割一分)。

そのため、キンドル作家は、既読ページ数(KENPという)と販売数の二つの印税が主な収入となる。


正直、印税はどうでもいい。

私の書いた本が、どれだけ読まれたかが最重要。

そして、それこそが私がキンドル本を書く喜び。

毎日の終わりにKDPを開き、KENPを確認することが今の私の日課となっている。

そんな新しい楽しみを得た私の日常は、多くの習慣とキンドル作家としての活動が中心となっていった。



キンドル本は、リリースするだけでは決して読まれない。

キンドル作家は、文章を作成しつつ、自らキンドル本を売る営業も行わなければならばい。


KDPには、キンドル本を売るための広告やキャンペーンなどの機能も有している。

しかし、アマゾンの広告のみで電子書籍が売れるのは、はっきり言って、運。

そんな運の中、インフルエンサーに見つけてもらい、おススメをしてもらう。

又は、素敵なレビューを頂く。


それは、サハラ砂漠で一粒のダイヤモンドを見つけるほどの確率。

そんなものに甘んじ、多くの初心者キンドル作家は、「本が売れない」と(なげ)く。


そりゃ、そうだ。

私は、有名人でも芸能人でも、ましては、高名な学者や識者でもない。

営業をしなければ、売れない。


読まれる努力をしなければ、誰の目に触れることもない。

一人でも多くの方に読んでいただき、そして、内容を気に入っていただければ、レビューを頂く。

そういった視座に立った営業や販促をしない限り、誰も読んでくれない。

理解しているようで私は、理解をしていなかった。


再度、キンドル本の出版についての本を読み漁る。

どうやら、キンドル本の販促を行っていくには、SNS、特にXを用いるのが最も効果的だということがわかった。


XなどのSNSで著者としての知名度を上げ、そして、信用をどれだけ得ることができるか が重要となる。

そのためには、多くの同じキンドル作家の本を読みレビューをする。

そして、私の本も読んでいただく。


キンドル作家同士の結束を固め、そしてお互いの評価を上げていく。

これは、ある意味、共同戦線。


キンドル作家同士が最初にレビューを書き合うことで、その後の売れ行きの足掛(あしが)かりとする。

しかし、あくまで初速を上げるための一つの戦略。


この戦略こそが、キンドル作家同士がズブズブの関係であり、キンドル出版は、レベルが低いと指摘される要因だ。


初速の調子がよくても、出版から二週間ほど経過した頃からが、本当の戦いのはじまりだ。

初発のレビュー数やランクの高さだけでなく、その後の売り上げは、本の質で決まる。


初発でのレビューが良いとしても、一般の読者が参入するようになると、その本の質が問われる。

もちろん、質が悪ければ、数ページ読まれるだけで、離脱。

又は、低評価、低レビューがつけられ、全体としての評価も落ちていく。


キンドル作家は、仲間であり、お互いの能力を高め合いながら切磋琢磨していくライバル。

しかし、最後に残る本当のライバルは自分自身。


会社では、上司や同僚、会社組織が売り上げや成績をフォローしてくれることもあるが、この世界にはそんなものはない。

会社勤めよりも厳しい戦いがそこに待つ。


自分に妥協したら、そこで全てが終わる。

どれだけキンドル作家仲間とコミュニケーションをとり、信頼を得ていくか。

そして、どれだけ自分の文章に向き合い、精度を上げていくか。

その両方を求められる。



オモシロい。



自らの歩みを止めてしまったら、この世界では生き延びていくことはできない。

学び続け、そして、自らを常に進化させていくことが求められる。

世間でいわれている「思考停止」がこの世界では、自らの、作家としての「終了」を意味する。


急き立てられるようで苦しい?

強迫観念に縛られているような気がする?

休むことも許されないような気がする?


違うね。


ここまでの人生が退屈過ぎた。

普通に仕事をし、普通に給料を家庭に運び、普通に毎日を生きる。

それは、本当に私が求めたものなのだろうか?

私は、自分の人生を本当に生きているのであろうか?


若い時には、思っていた。

「私は、何者かになれる。そして、何かをなす」

そんな考えをいつの間にか手放していた。

親として、夫として、社会の一員として。

自分の可能性を停止させていた。


動き出した私の中の獣。


殺すのは、今までの自分。


(つづく)

――――――――――――――――――――――――――

お読みいただき、ありがとうございます。

よかったら、つづきも読んでいただけますと嬉しいです。


また、あなたと会えることを楽しみにしています。


白明

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