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愚者:40歳からでも人生は変えられる  作者: 白明


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9.The Hermit(隠者)

ちょっとした数ミリ程度の抵抗と自己研鑽(けんさん)

やってみてば正直簡単だった。

ここまで行ってきた節約や筋トレと大して変わりはない。


以前であれば、休日はパチンコに朝から繰り出していた。

しかし、筋トレや節約の習慣を取入れてみると、時間やお金がもったいないと感じるようになった。

すると今まであんなにも執着していたパチンコに 行きたいとすら思わなくなっていた。

人の趣味、趣向とは、こんなにも簡単に変わってしまうのかと、自嘲する。


そんな中、新しく取り入れた習慣が読書だ。

読書は、二十歳までは、ほぼ皆無。

読むのは漫画ばかり。


二十歳の時、ある小説に出会い貪るように読んだが、結婚をした二十四歳になる頃には、やめてしまった。

文章を読むこと自体は大好きなのだが、いかんせん時間がかかることが、その当時の私にはネックだった。

本を読むくらいであれば、パチンコに行く。

そんな腐りきった精神であった。



週末に子ども達の面倒をみると称し、近くの大型古本屋へ。

販売している書籍は、ほぼ百円。

歴史、小説、エッセイ。美術、経済、会社経営、自己啓発。

ありとあらゆる本が安価で手に入る。

世の中もずいぶん便利になったものだ。


毎週、十冊の本を購入するのが習慣となった。

通勤には、電車で片道が約一時間半。

通勤時間は、いままで寝ているか、スマホのゲームをしているだけ。

そんな時間を読書に充てられるのであれば、少しでも自己(じこ)研鑽(けんさん)につながる。


読書。

これが意外と面白い。


映像が無いストーリー。

だからこそ、脳内に広がる妄想空間。

ある意味、領域展開。

私だけができる勝手なキャラクター配置。

まるで、自分が映画監督になったように、ストーリーに合わせキャラクター容姿の細部までも、脳内で形成していく。

こんなにも自由。そして、こんなにも自己完結ができる。

四十過ぎたおっさんが電車の中で、本を読みながら妄想に耽っていると他人に知れたら逮捕ものだ。

一人、ニヤニヤとしながら読書の世界に身をゆだねていった。


この時間は自由。いや。この時間こそ 自由。

家族からも、そして、仕事からも、そして私からも自由になる時間。

毎日の抑圧された時間から解放され、自分の意識に身を(ゆだ)ねられる。

ストーリーは本の原作者のもの。

だけど脳内の映像は、配役は、私のモノ。

いびつではあるがそこは自己完結し、決して他人に触れられない世界。

私だけの世界。


あ、ごめんなさい。四十過ぎたおっさんだけど絶賛、厨二病中です。

そして、それを拗らせています。

読んでいて気持ち悪かったら、本を閉じていただいて結構です。


すみません。ちょっとだけ暴走をしました。(三回目)


この当時は、ありとあらゆる本を読み漁り、そして吸収していった。

通勤鞄の中には、必ず三冊以上の本を入れ、その日の気分により、その世界にダイブしていった。

ある時は、億トレーダー、ある時は、臨床心理士。ある時は、名探偵。そして、帰り道には、エッセイスト。


読書とは、自分だけの人生ではなく、他人の人生をも生きることができる。

本当の意味でのライフハックなのでは?とも思えた。

私は、読書により、違った生き方の可能性も見つけることができたのだ。


精神世界にダイブする。

文字通りその世界に浸るだけでなく、自分の思考や本の中で使われる言葉を吟味する楽しみを教えてくれる。

「こんな表現をすることが可能なのか…」

「なるほど。このような言い回しが読者を()きつける理由なのか…」

「その感情を文字で表現するとこんな感じなのか…」

学び、そして、味わう。

そんな楽しみ方もあるのだとわかった四十歳の朝。


読書は、私ではできない経験をする主人公の感情、体験、そして感触を与えてくれる。

正直に言う。

なんだ、これは?

この年齢になるまでこんなにも深く、そして、脳味噌を刺激する楽しみがあると知らなかった。


視覚情報を遮られた中での、想像とはここまで甘美で、そして脳を刺激するモノなのか。

だからこそ、長い間、人々は書に惹かれ、のめり込み、そして、その魔力により命さえも捧げるのか。


危うい。

だけど愛おしい。

そして、離したくない。

そんな危険な感情をすべて与えてくれる読書の世界に私は、引きずり込まれていった。


(つづく)

――――――――――――――――――――――――――

お読みいただき、ありがとうございます。

よかったら、つづきも読んでいただけますと嬉しいです。


また、あなたと会えることを楽しみにしています。


白明

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