0.The Fool(愚者) 逆位置
私は、自分の人生に絶望をしていた。
祖父がいなくなったことによる虚無感。
そして、今後、私がしなければならないと想像していたことへの否定。
自分の存在価値や存在理由への疑問。
表面的に強がってみても、現実的にのしかかる不安。
そして、次代へとつないでいく意志の重さ。
私がしたい、本当の生き方。
祖父の最後の「教え」が私に大きくのしかかっていた。
「私には、一体何ができるのであろうか?」
「私は、一体誰なのだろうか?」
「私の本当にしたいことは、一体何なのであろうか?」
毎日、自問自答をし、そして、その言葉に羽交い絞めにされている自分がいた。
しかし、現実は残酷だ。
私の年齢は既に、四十歳。
稼ぐため、そして、家族を養うために、仕事へ行き、成果を上げなければならない。
考えることを否定するかの如く、毎日は容赦なく過ぎていく。
毎月の支払、子ども達の学費や塾の費用、そして、実家への送金。
毎月、追われるように仕事をし、稼ぎ、喰い、そして寝る。
それが、家族を養い、生活していく人間の当たり前。
そして、それが親としての当然の義務。
そんな思考に縛られながらも、何か疑問を持っている自分がいた。
これから何かをはじめても、遅いのではないのだろうか?
どんなに頑張っても、結局何も変わらなかったらどうしよう。
そんな想いも絡み合い、思考の渦に飲み込まれていく自分がいた。
私は誰なのであろうか?
そして、私のしたいことは一体、何なのであろうか?
祖父からの「教え」をどうにか実行したくても、できない時間だけが過ぎて行った。
そうじゃない。こうなりたかったわけではない。
私は、埋もれたくはなかった。
だけど、現実は、容赦なく大人としての私を押し付けてくる、
祖父に、私は、「しゃんとした」って、言いたかった。
(つづく)
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よかったら、つづきも読んでいただけますと嬉しいです。
また、あなたと会えることを楽しみにしています。
白明
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