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星空の移民船団  作者: バッシー0822


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7.事故の裏側

玲奈は事故の様子を淡々と語った。

「事故当時、どうやらあなたは意識がなかった。

銀色のなにかに掴まれて自動車に乗り込んだの」


「そして事故に遭った。まるで自殺ね。」


その言葉に、真帆は反発して言った。

「まさか、私、そんな事、しないわ」


玲奈は言った。

「そうね、なんだかいろいろ、あなたの周りって、怪しいことだらけね」

「残念ながらあなたの左腕は再生不能無ほど損傷していたの。

そしてなぜか傍らにこの義手が落ちていた。まるであなたに移植されるためみたいに」


真帆は少しゾッとした。


玲奈は続けて

「なかなか手に入るようなものじゃないわ。だけど、嫌だったら言ってもらえれば、普通の義手に交換できるわよ、ただ、相当不自由になるけれど」


玲奈は真帆を見た。


「これでいいわよ」

真帆はすっかり諦めたように言った。

「それより、私ってそんなに、誰かに恨まれていたのかしら?」


真帆の問いは、

「自分は誰かに殺されかけたのか?」

という恐怖と、

「この世界で自分は何者なのか?」

という根源的な不安が混ざった声だった。


玲奈は、しばらく真帆の顔を見つめてから、

ゆっくりと息を吐いた。


玲奈の返答:医師としての冷静さと、女としての直感

「……恨まれていた、というより」


玲奈は言葉を選ぶように、少し間を置いた。


「“狙われていた”と考えるほうが自然ね」


真帆の背筋がぞくりとした。


「狙われて……?」


玲奈は頷く。


「だっておかしいでしょう。

意識のないあなたを“銀色の何か”が掴んで車に押し込んだ。

その直後に事故。

そして、あなたの傍らには――」


玲奈の視線が、真帆の左腕に落ちる。


「――軍事レベルの義手が、まるで『拾ってください』と言わんばかりに置かれていた」


真帆は思わず左腕を抱え込んだ。

金属の冷たさが、逆に“生々しい”感覚として伝わってくる。


玲奈の推測:医師の範囲を超えた“違和感”

「普通の事故じゃないわ。

あなたの周りには、どう考えても“偶然”じゃ説明できないことが多すぎる」


玲奈はタブレットを閉じ、真帆に向き直る。


「それに……あなたの身体の状態も、妙なのよ」


真帆は息を呑んだ。


「妙って……どういうこと?」


玲奈は、医師としての冷静な声で言った。


「あなたの脳波。

事故直後から、ずっと“別人のパターン”が混ざっているの」


真帆の心臓が跳ねた。


別人……

それって……

私のこと?


玲奈は続ける。


「でも、あなたの脳は正常に働いている。

記憶障害とも違う。

むしろ――」


玲奈は真帆の目を見つめた。


「“あなたの中に、別の誰かが入ってきた”ように見えるのよ」


真帆は息を呑んだ。


真帆の恐怖と、言葉にならない直感

私は佐伯真帆。

でも、この身体は……

篠原美穂。


じゃあ、私は……

どこにいるの?


胸の奥が冷たくなる。


玲奈の結論:恨みではなく、“計画”

「恨まれていた、というより……」


玲奈は静かに言った。


「あなたは“巻き込まれた”のよ。

誰かの計画に」


真帆は震える声で言った。


「……誰の?」


玲奈は答えなかった。

ただ、真帆の左腕――LM-01A1――をじっと見つめた。


その視線は、

“医師”ではなく、

“研究者”のものだった。



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