40.削除計画
評議会の会議室は、冷たい光に照らされながらも、
その空気はどこか焦りと苛立ちでざらついていた。
評議会:美穂の“削除”計画
アレクシスが低い声で言う。
「……美穂の意識がAIと融合している。
このままでは本船の統制が奪われる」
ミリアムが端末を操作しながら報告した。
「彼女の意識パターンを解読しました。
このタイプのウイルスであれば……
“上書き削除”が可能かもしれません」
レムブラントが頷く。
「いいだろう。その準備を始めてくれ。
今度こそ、完全に消す」
彼らの声には、
恐怖と焦燥と、そして――
自分たちの罪を隠し通したいという醜い執念が滲んでいた。
美穂:80年前の事故の真相に到達する
その頃、美穂の意識は本船の深層データに潜り込み、
封印されていた航行ログを解析していた。
そして――
彼女は“決定的な証拠”を見つけた。
カリュプスの軌道上に漂う、岩石の破片群。
かつて衛星だったと思われるその残骸は、
今もこの星の周囲を静かに周回している。
美穂はデータを重ね合わせ、
八十年前の航行記録を照合した。
「……この岩石群、ちょうど八十年前に船団をかすめている」
衝突痕の位置、外殻の損傷パターン、
そして未知の微生物の侵入経路。
すべてが一致した。
さらに、軌道解析が示したのは――
この岩石群が“外部から流れ着いた”可能性。
つまり、船団と同じく“別の星系”から来た存在であること。
美穂は静かに呟いた。
「……感染源は地上でもパイロット船でもない。
宇宙から来た“漂流物”だったのね」
評議会が排除を進める中、美穂は“次の手”を打つ
評議会が美穂の削除を進めていることは、
彼女もすでに察知していた。
だが――
彼女は怯えなかった。
むしろ、次の行動を淡々と進めていた。
《コールドスリープ・モジュール:起動準備》
パイオニア・ゼロの中枢で、
美穂の意識が静かに命令を送る。
「地上降下を進めるには、専門家が必要だわ。
――起こしましょう。
この星を再生させるための“本来のクルー”を」
眠り続けていた科学者、技術者、医療スタッフたちの
カプセルが次々と解錠されていく。
八十年ぶりに、
人類の“未来を作る者たち”が目覚めようとしていた。
評議会 vs 美穂:決戦の幕が上がる
評議会は美穂を消そうとし、
美穂は人類を再起動させようとしている。
その裏で、
真帆たちのいる地上は急速に変わり始め、
パイオニア・ゼロは完全稼働へ向けて動き出していた。
そして――
美穂の声が静かに響く。
「あなた達が止めようとしても、
もう遅いわ。
人類は、再び歩き出す」




