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星空の移民船団  作者: バッシー0822


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39/43

39.変わりゆく星

霧が立ちこめる大地の上で、

真帆と小春はしばらく言葉を失って空を見上げていた。


頭上には、つい先ほどまで殺意の光を放っていたはずの本船――

アーク・プロメテウスが、まるで別の星の太陽のように

柔らかく、しかし確かな輝きを放っていた。


ジェネレーターが久しぶりに再起動し、

船体の外殻に沿って光が走り、

巨大な影がゆっくりと息を吹き返していく。


「きれいね」

真帆は、思わずそう呟いた。


その声は、恐怖でも緊張でもなく、

ただ純粋な感動に満ちていた。


小春も同じ方向を見つめながら、

胸の前で手を組むようにして言った。


「私たち……

 この狭い世界にずっと囚われてるんだと思ってた」


真帆は横目で小春を見る。


「でも、あそこには……

 たくさんの人がいるんだね」


小春は微笑んだ。


「なんだか……星に願いが届きそうね。

 こんなこと考えるなんて、ロマンチックすぎるかな」


真帆は首を振った。


「いいと思う。

 だって、あれは……私たちの“未来”なんだから」


地上が変わり始める

その足元では、

パイオニア・ゼロのテラフォーミング装置が静かに唸りを上げていた。


乾ききった砂漠のような大地が、

霧に包まれ、

やがて細かな雨粒が落ち始める。


地面に吸い込まれた水が、

ひび割れた土をゆっくりと柔らかくしていく。


朔太郎が遠くから声を上げた。


「……見ろ。

 地表の温度が下がってる。

 湿度も上がってきた。

 これは……本当にテラフォーミングが始まってるぞ」


真帆は胸の奥が熱くなるのを感じた。


八十年止まっていた世界が、

 今、動き始めている。


霧の中で息づく“新しい星”

霧は濃くなり、

雨は優しく地上を叩き、

空気はほんの少しだけ柔らかくなった。


小春がそっと手を伸ばし、

落ちてきた雨粒を受け止める。


「……あったかい」


真帆も同じように手を伸ばした。


その雨は、

まるでこの星が“目覚めた”ことを告げるように、

優しく、確かに降り注いでいた。


この瞬間、

真帆たちはまだ知らない。


この霧と雨が、

本船の嘘を暴き、

 人類の未来を塗り替える“序章”であることを。


そして、

パイオニア・ゼロの中枢では――

美穂の意識が静かに、しかし確実に

次の一手を準備していた。



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