表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
星空の移民船団  作者: バッシー0822


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

37/43

37.霧の中のパイオニア・ゼロ

霧が立ちこめる地上。

テラフォーミング装置が急速に稼働し、空気と水蒸気が渦を巻き、

パイオニア・ゼロはまるで雲の胎内に沈むように白い霧に包まれていった。


その瞬間――


第2射、発射

本船アーク・プロメテウスの砲塔が震え、

主電源に再び巨大なサージが走る。


《レーザー第2射、発射》


光の奔流が一直線に地上へ収束し、

霧を貫いてパイオニア・ゼロへと突き刺さった。


封鎖区画AI、全力運転

地上のセンターコア内部で、

封鎖区画AIが警告音を鳴らしながらフル稼働に切り替わる。


《WARNING:ENERGY SURGE DETECTED》

《DEFENSE PROTOCOL MAXIMUM》


真帆の左腕が再び脈打ち、

シールドが第2形態からさらに進化する。


吸収効率が跳ね上がり、

レーザーの光は霧の中でねじ曲がりながら

すべてパイオニア・ゼロの動力炉へと流れ込んでいく。


動力炉、飽和状態へ

《ENERGY LEVEL:100% → 140% → 200%》


朔太郎が息を呑む。


「……こんな出力、耐えられるのか……?」


真帆の左腕が答える。


「問題ないわ。むしろ、これが欲しかったの」


その声は、美穂の声だった。


パイオニア・ゼロ、反撃開始

動力炉が満たされると同時に、

パイオニア・ゼロの上部アンテナ群が一斉に展開した。


霧の中で銀色の槍のように伸び、

本船アーク・プロメテウスへ向けて

大電力通信を照射する。


本船の管制室が騒然となる。


「何が起きている?」

「通信量が異常です!」

「これは……攻撃だ!?」


技術士官が叫ぶ。


「古典的ですが……パイオニア・ゼロが本船AIに強力なハッキングを仕掛けています!」


アレクシスが怒鳴る。


「回線を切断しろ!」


「無理です!

 伝播している物理的エネルギーが高すぎます!

 切断できません!」


AI、乗っ取られる

本船AIのモニターが一斉にノイズを走らせ、

音声出力が歪み始める。


《……システム……侵入……》

《……優先権……上書き……》


そして――

画面が真っ白に染まり、

ゆっくりと一つの姿が浮かび上がった。


白い光の中に立つ女性。

柔らかな髪。

静かな瞳。


美穂だった。


「評議会の皆さん、こんにちは」

その声は、

八十年前と変わらない、穏やかで澄んだ声。


しかし、

その奥には鋼のような意志が宿っていた。


「評議会の皆さん、こんにちは」


アレクシスが凍りつく。


「……美穂……?

 お前は……死んだはずだ……!」


美穂は微笑んだ。


「ええ。

 “肉体”はね」


そして、静かに続けた。


「でも、あなたたちが消そうとしたものは――

 まだここにいるわ」


本船の照明が一斉に落ち、

AIの制御権が完全に書き換えられていく。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ