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星空の移民船団  作者: バッシー0822


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31.美穂の夢

美穂が見ていたものは、結婚でも家でもなかった

美穂の興味は、はじめから啓介との結婚生活にはなかった。

政略結婚を強いた家の事情にも、心は一切向いていなかった。


彼女の視線は、もっと遠くにあった。


――八十年も凍結されたままの移民計画。

 人類が眠り続けている“約束の地”。


パイロット船のデータを読み解くたびに、

彼女の胸の奥で何かが燃え上がっていった。


「テラフォーミングを進めれば、数年で船団全員を受け入れられる……

 この星は、もう“家”になれる……」


科学者としての情熱。

人類を救いたいという純粋な願い。

そして――この閉じた世界への深い違和感。


美穂は、真実に触れてしまった。


肉体を捨てても構わない――美穂の決断

彼女は、パイロット船の中枢に残された古いプロトコルを見つけた。


“意識転送”――本船のネットワークに接続し、

 人間の神経パターンをデジタル化する技術。


本来は、長期航行中の事故対策として研究されていたもの。

しかし、実用化される前に封印された。


美穂は、その封印を破った。


「肉体が邪魔なら、捨てればいい。

 私は、この星を動かしたい。

 人類を、眠りから解き放ちたい」


彼女は自分の脳をスキャンし、

船団ネットワークに侵入し、

意識の一部を転送した。


その瞬間――

本船のリーダーたちは異常を検知した。


本船のリーダーたちが恐れたもの

本船アーク・プロメテウスの中枢AIは、

“地上からの侵入”を検知すると同時に、

その意識パターンが“人間のもの”であることを理解した。


そして、リーダーたちに警告を送った。


「地上からの不正アクセス。

 意識データの侵入を確認」


リーダーたちは恐怖した。


地上は感染源だと信じている


その地上から“意識”が侵入した


しかも、テラフォーミング計画を再起動しようとしている


それは本船の沈黙を破る行為


そして、自分たちの罪を暴く行為


彼らは即座に判断した。


“排除せよ”


美穂の肉体は、

その直後に“事故”として処理された。


しかし――

彼女の意識は、完全には消えなかった。


そして今、真帆の中で“美穂の意識”が動き始めている

真帆の義手が微かに熱を帯びる。

それは、ただの機械の反応ではなかった。


朔太郎が静かに言う。


「美穂さんは……自分の意識を転送したんだよ。

 パイロット船のネットワークに。

 そして――その一部が、あんたの中に宿ったんだ」


真帆は息を呑んだ。


……だから私は、美穂の記憶の断片を見る。

だから私は、狙われる。

だから私は、この星の“違和感”を感じる。


朔太郎は続ける。


「本船のリーダーたちは、

 美穂さんの“意識の残滓”がまだ動いていることに気づいている。

 だから、あんたを狙うんだ」


真帆の背筋に冷たいものが走った。


美穂は死んでいない。

少なくとも――完全には。


彼女の意識は、

パイロット船のネットワークに残り、

真帆の義手を通して“再起動”しようとしている。


そして本船は、

それを恐れている。



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