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星空の移民船団  作者: バッシー0822


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26.朔太郎の語り、封印された事故

朔太郎の語りは、

ただの昔話ではなかった。

その声には、八十年という時間を越えてなお消えない“恐怖”が滲んでいた。


真帆は、朽ちた発射場の鉄骨を見上げた。

錆びついた梁は折れ曲がり、

かつて宇宙へ伸びていたはずの軌道は、

今ではただの黒い影にしか見えない。


風が吹くたび、金属が低く鳴った。

まるで、封印された記憶が呻いているようだった。


「爆発事故が起こったんだ」


朔太郎は、ゆっくりと指を伸ばし、

歪んだ発射台の先を示した。


「本船から帰ってきた連絡船が、

 着陸の直前に制御を失ってね。

 あそこに激突した」


真帆は、胸の奥が冷たくなるのを感じた。


「……生存者は?」


「私だけさ」


朔太郎は淡々と言った。


「両親を迎えに来ていた。

 ほんの数分、場所を離れた。

 戻ったときには……全部、終わっていた」


小春がそっと朔太郎の袖を握った。


「おじいさん……」


老人は優しく小春の頭を撫でた。


「他のみんなは箝口令さ。

 事故のことは“なかったこと”にされた。

 記録も消された。

 まるで最初から存在しなかったかのようにね」


真帆は息を呑む。


……記録の消去。

美穂の死の隠蔽。

二度の襲撃。

すべてが同じ“手”によるものなのか。


本船の沈黙:不自然な“恐怖”

朔太郎は、発射場の奥にある巨大な扉を見つめた。


「おかしな話だろう。

 宇宙船の事故なんて、本船の規模からすれば取るに足らない。

 それなのに……」


老人は声を潜めた。


「本船は、それっきり船をよこさなくなった」


真帆は眉をひそめる。


「事故を恐れた……ということですか?」


「いや、違う」


朔太郎は首を振った。


「事故を恐れたんじゃない。

 “何かを持ち帰った船”を恐れたんだ」


真帆の背筋が凍りついた。


「……何か?」


「わからん。

 だが、本船は“地上に降りてはいけない理由”を知ったんだ。

 そして、私たちを隔離した」


老人の目は、八十年前の光景を見ているようだった。


「美穂さんにも話したよ。

 彼女はこう言った」


朔太郎は、真帆の目をまっすぐ見た。


「本船は、降りられないんじゃない。

 降りてきてはいけないんだ」


朔太郎の問い:真帆への試し

「……あんたはどう思うかね?」


朔太郎の声は静かだったが、

その奥には鋭い探りがあった。


真帆は、胸の奥で何かがざわつくのを感じた。


本船の沈黙

消された記録

美穂の死

義手の異常

二度の襲撃


そして“地球から来た自分”


すべてが、

ひとつの線で繋がり始めていた。


真帆はゆっくりと息を吸い、

朔太郎の問いに答えようと口を開いた――



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