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星空の移民船団  作者: バッシー0822


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25.センターコアへ向かう道

真帆は、玲奈のアドバイスを受けながら啓介や佳奈に事情を聞いてみたが、

啓介はすでに美穂とは夫婦というより同居人といった感じで、

彼女の悩みの本質などには気づいていなかったようだった。


佳奈は本心では啓介と暮らしたいようではあったが、

それが叶わないことに諦めを感じていた。

そして、生活の苦しさから小春を篠原家の跡取りとしたいという

啓介の話に渋々同意したようであった。


彼女からは計画性を感じないし、

実の子供である小春を大事に思っていることは伝わってくる。


結局、啓介と佳奈からは何も得られなかった。

玲奈の推測どおり、二人は事件に関わるような人間ではない。

ただ、弱くて、どうしようもなく不器用なだけだ。


二度の襲撃の恐怖だけが、真帆の胸に残った。


そんな中で――

小春だけが、真帆の心を温めてくれた。


「お母様、今日はね……

 センターコアに行きましょう」


小春は嬉しそうに手を引く。


「今日はね、おじいさんを紹介するの」


「おじいさん?」


「うん。望月朔太郎おじいさん。

 とっても優しいの」


その名前を聞いた瞬間、

真帆の背筋に、なぜか小さなざわめきが走った。


朽ちたセンターコアの前で

センターコアは、今日も静かに佇んでいた。

金属の外殻は錆び、壁には古い文字が残り、

風が吹くたびにどこかが軋む。


その入口の影に、

ひとりの老人が腰を下ろしていた。


白髪は肩まで伸び、

深い皺が刻まれた顔は、

まるでこの星の歴史そのものを背負っているようだった。


小春が駆け寄る。


「朔太郎おじいさん!」


老人はゆっくりと顔を上げた。


「おや……小春ちゃんか。

 今日も来てくれたのかい」


その声は、驚くほど柔らかかった。


望月朔太郎という男

小春に手を引かれ、真帆は老人の前に立つ。


「この方が……?」


「うん。おじいさん、紹介するね。

 この人が、わたしのお母様なの」


朔太郎は真帆をじっと見つめた。

その瞳は濁っているようで、しかしどこか鋭い。


「……ああ。

 あなたが“美穂さんではない人”か」


真帆は息を呑んだ。


「どうして……?」


「小春ちゃんが話してくれたよ。

 あなたは、美穂さんとは違う“誰か”だと」


小春は悪びれもせずに頷いた。


「だって、お母様はお母様だもん。

 美穂さんとは違うよ」


真帆は胸が締めつけられた。


老人は続ける。


「……美穂さんは、ここに来たよ。

 最後に会ったのは、あの日だ」


真帆の心臓が跳ねた。


「美穂が……ここに?」


「ええ。

 彼女は“本船の沈黙”について調べていた。

 そして、私にこう言ったんだ」


朔太郎は、ゆっくりと空を見上げた。


「“本船は、降りられないんじゃない。

 降りてきてはいけないんだ”と」


センターコアの奥で、

古い金属が風に鳴った。


真帆の背筋に、冷たいものが走る。


朔太郎の言葉が開く“真相への扉”

「朔太郎さん……

 あなたは、何を知っているんですか?」


老人は、静かに目を閉じた。


「80年前のことを知っている。

 連絡船がまだ来ていた頃のことも。

 本船で何が起きたのかも」


真帆は息を呑む。


「でも……その記録は全部消されているはず……」


「記録は消せても、

 人間の記憶までは消せないよ」


朔太郎はゆっくりと立ち上がった。


「さあ、ついてきなさい。

 あなたに見せたいものがある」


センターコアの奥へと続く暗い通路。

その先に、

80年前の“封印された真実”が眠っている。


真帆は、小春の手を握りしめた。



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