20.自動運転車の襲撃
真帆と小春が手をつないで歩いていたその瞬間、
静かな通りに不自然なエンジン音が響いた。
次の瞬間――
自動運転車が制御を失ったように、
二人めがけて突っ込んできた。
「危ない!」
真帆がそう思った瞬間、
左腕が勝手に動いた。
銀色の義手が、
まるで生き物のように形を変え、
巨大な盾のように展開する。
ガンッ!
車は弾き飛ばされ、
地面を滑って停止した。
真帆は呆然とした。
私……何もしていない。
なのに、この腕が勝手に……?
左腕は、何事もなかったかのように元の形に戻った。
もう一人の目撃者
その場に、
もう一人立ち尽くしている人がいた。
望月佳奈。
小春の実の母。
彼女は、
小春の無事を確認した瞬間、
膝が崩れそうになっていた。
「ママ!」
小春は佳奈に駆け寄り、
その胸に飛び込んで泣き出した。
佳奈は震える手で小春を抱きしめる。
「よかった……本当に……よかった……」
その姿は、
“犯人”のそれではなかった。
真帆の胸に広がる後悔
真帆は、
二人の抱擁を見つめながら胸が痛くなった。
私……母親になれるなんて、思い上がっていたのかもしれない。
この子の本当の母親は、目の前にいる佳奈さんなのに。
私は……ただの“代役”にすぎない。
その痛みは、
事故の衝撃よりもずっと深かった。
しかし、もっと恐ろしい事実がある
二度目の事故。
しかも今回は、
明らかに“狙って”いた。
自動運転車が突然制御不能
小春と真帆の位置を正確に狙っていた
義手がなければ二人とも死んでいた
佳奈さんが犯人?
そんなはずない。
あの表情は嘘じゃない。
じゃあ……誰?
私を狙っているのは誰なの?
真帆の背筋が冷たくなった。
真帆は、すでに“事件の中心”にいる
美穂の死
銀色の義手
本船との秘匿通信
船団の隠蔽
二度の襲撃
そして、誰かの監視
真帆は、
知らないうちに“美穂の敵”を引き継いでしまった。
そしてその敵は、
美穂ではなく“義手を持つ者”を狙っている。
つまり――
真帆自身が標的になった。




