2.病室で目覚める真帆。
真帆は、しばらくぼんやりと天井を見つめていた。
白い天井。無機質な照明。
どこか病院らしいけれど、見慣れた日本の病院とは微妙に違う。
頭がずきりと痛む。
反射的に右手を伸ばすと、包帯の感触があった。
「ああ……やっちゃったな……」
自分でも驚くほど冷静な声が漏れた。
事故に遭ったのだろう。
桜の花びら、突風、車の影――そこまでは覚えている。
だが、次の瞬間。
左腕に、違和感。
真帆はゆっくりと左手を持ち上げた。
銀色の、シャープなフォルム。
関節は滑らかに動き、指先まで精密に造られている。
まるでSF映画の中の義手。
「……え?」
思わず声が漏れた。
恐る恐る右手で触れてみる。
金属の冷たさが伝わる。
だが同時に――
触られている感覚が、左腕の“内側”から返ってきた。
「……嘘でしょ」
義手なのに、感覚がある。
そんなもの、現代の技術ではありえない。
真帆は混乱しながら、左手を握ったり開いたりしてみる。
動く。
滑らかに。
まるで自分の腕のように。
「夢……? いや、でも……」
窓の外に目を向けた。
そこにあったのは、
見慣れた太陽ではなかった。
弱々しく、赤みを帯びた光。
まるで夕暮れの太陽が、ずっと沈みきらずに空に留まっているような――
そんな不気味な光。
「……ここ、どこ?」
胸の奥に、じわりと不安が広がる。
そのとき、病室のドアが静かに開いた。




