5
人間の方を見ていたイルカ。
やっぱりなにかを伝えようとしている。
なんだろうなぁと思っているとまたあのスプレーを取り出してきた。
そして、それを空中に噴射するのだ。
今度はどんな映像を見せてくるんだろ?
そんなことを思っていた俺が見たのは、人間同士の会話だ。
もしかして、やっぱり俺に人間と仲良くしてほしいのだろうか?
もしや、会話をしている姿を見せてほしいのだろうか。
でも、アレだよ?
あの人たちと話せるような感じはあんまりしないよ?
「まぁ、わかりました!できるかはわかりませんけど!とりあえずはやってみます!」
「ピーピー!」
俺の言葉に相槌を打ってくれたイルカ。
なんか、今のこの瞬間にめちゃくちゃ分かり合えたような気がした。
ちゃんと会話ができている感じがあってちょっと感無量……
まぁ、とりあえず、もっとちゃんと人間に話しかけてみるか。
もしかするとなぜか日本語喋れるかもしれんし。
「あのー!聞こえてますかー!今大丈夫ですかー!?」
「あぁー!うわぁーー!」
「あ、あのー……日本語って喋れますかぁー!?」
「うほうほうほうほほ!!」
ダメだこりゃ。
あまりにもダメだこりゃすぎてイルカも呆れてる。
イルカが呆れているのがわかるくらいに呆れ返っていた。
やっぱり人間って環境がないと野生化するんだね。
社会があるから人間なのかも。
「キィーキィー」
「ん?え?いいの?これ使っても」
わかってくれたイルカは人間を諦めた。
そして、持っていたスプレーを俺に渡す。
これがどんなスプレーなのかはあんまりわかってない。
が、なにかしらの映像を生み出すことができるのは確かだ。
もしかして、イメージしたことが出てくるとか?
なら、どんなイメージで使ってみようかな?
しばらく考えた俺はスプレーを空間に噴射する。
そうすると人間とイルカが仲良くしているイメージが出た。
あぁ、これ本当にイメージしたことが出てくるんだなぁ。
そんな風に感心をしているイルカが俺に“ギュっ”と抱きついてくる!
こ、これは、完全に通じ合うことができているではないかぁ……
「キィー!キィー!」
「ありがとう!俺も仲良くできて嬉しい!」
言葉が通じなくても心が通じることはあるんだなぁ。
こんな世界に来て少し不安だったけど、なんとかなるかもしれない。
少なくとも俺と彼は仲良しだ。
ジェットパックイルカと長いこと抱きあっていた。
しばらくして、俺がスプレーを返そうとすると向こうはそれを拒んだ。
これからはこれを使ってコミュニケーションを取れってことだな?
じゃあ、ありがたくいただくことにしよう!
評価や感想をくれると消えない可能性が高まります




