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鉄の扉の先にあったのは、人間のアレだった。
人間の……何て言えばいいのかな?
人間が動物園の動物のように展示されていた!
うん。そう。
なんかなんとなくそうだとは思っていたが、ホントにそうだとは。
この世界における人間の扱いはそりゃそうなって然るべきだ。
当然のように人間は裸だ。
こうしてみると人間も動物もそんなに大差ないな。
動物園の檻の中とは言ってもここは室内だった。
太陽光も入ってこないような狭い場所。
ガラスの向こうで人工的な自然とともに生活している人間がいた。
もしかして、俺とこれからここに入れられる?
まぁ、そう考えるのがめちゃくちゃ自然ではあるけど最悪でもある。
言うて人間同士だからって仲良くできること限らんのだぞ?
ほとんど動物みたいな雰囲気の人間たちとどう付き合えばいい?
というか、イルカたちはどんなことを思っているのだろうか。
俺は隣にいるイルカの表情を覗いてみる。
しかし、まぁ、なにを考えているのはやはりわからない。
わかるわけもないのだった。
殺されるよりはマシだと思うしかないかな。
とりあえずはそう思うしかないような気がした。
てか、ここにいる人たちって当たり前のように日本語喋れないよね?
なんかスゴい嫌になってきたなぁ……
さっきからガラスの向こうの人間を見ててもほとんど猿みたいだし。
ずっと髪の毛のゴミを食べてる?
毛繕いしてんのかなぁ。
これ、俺はここでなにをすればいいの?
人間を見ているだけのイルカ。
なにか物思いに耽っているような感じがした。
そりゃ知能があったらそういうのもあんのかな?
でも、微妙にグロいからあんまり見たくないんだけど。
しばらく待っているとイルカがコッチを向いた。
そして、「キィー!キィー!」となにかを言ってくる。
なにを言おうとしているのかはマジで全然わからない。
でも、明確に俺に対してなにかを言っていた。
今なら、口を開いても大丈夫だったりしないかな?
「あの、すみません!」
俺は、自分の感情が伝わるように抑揚を大きめにした。
そして、それはちゃんとイルカに伝わっているような、気がした。
まさか人間よりもイルカと分かり合えるなんて日が来るとはな。
言語だけが全然ダメだけど、それ以外は意外といけそうだ。
それにしても、なんなんだろうな?
なんの目的で俺をここに呼んだんだろ?
「あのー!なんで俺をここに呼んだんでしょうか!」
俺はイルカにそう訊ねた。
しかし、返事は返ってこない。
返ってこない代わりに、イルカは人間の方へ顔を向けるのだった。
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