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……イルカ……?
俺はスクランブルな交差点に突っ立っていた。
アチコチにビルがあって、イルカがモデルの広告があって。
なんか空には空飛ぶ車があって。
人通り、いや、まぁ、人ではないんだが。
とにかくたくさんの生き物がいて。
まぁ、俺の周辺に居るのはイルカたち。
どこを見てもイルカが居るのだった。
ちゃんと洋服を着ていて、二足歩行のイルカたち。
なにがなんだかわからないのは俺も一緒だから安心してほしい。
「ピーピー、ピーピー」
そんななんかよくわからない俺に対してイルカが語りかける。
デニム生地のセットアップでなんかお洒落だった。
でも、やっぱりなにを言っているのかわからない。
彼らになにかしらの文明があることは明白だ。
しかし、彼らがなにを話しているのかはやっぱりわからないのだった。
なんだかよくわからない世界へ来てしまった。
というか、なんで俺はこんな場所にいるんだ?
なんにも記憶がないけど、なぜかこんな場所にいる。
もしかしてアレかなぁ。
酔っ払ってるのかなぁ。
もしくは死んだか。
そんな感じでここに居る理由を考えていた俺。
そんな俺の元にイルカがやってきた。
というか、降り立ってきた。
ジェットパックを着けた宇宙服みたいなのを着たイルカがやってきた。
これ、人間よりも文明が進んでるってことですか?
まぁ、ですよね。
車も空飛んでるし。
「ピィー!ピィー!」
なんだろう?
明らかに俺になにかを伝えようとしている。
でも、それがなんなのかが全くわからない。
困惑していると、彼?は背中のジェットパックに手を突っ込んだ。
なぜ!?って思っているとそこから謎のスプレーが出てきた。
白と黒をした、悪い人が落書きするのに使いそうなスプレー缶だ。
“シャー!シャー!”
とイルカさんがそれを空中に吹き掛ける。
すると、そこにホログラムみたいな感じで映像が出てくる。
どんだけハイテクなんだよ、おい。
その映像にあるのは、イルカの後ろを着いていく人間の姿だ。
あれ?もしかしてこの人?に着いていく必要がある?
「ピィー?ピィー?」
疑問系で俺になにかを言ってくるイルカ。
てか、イルカにも疑問系ってあるんだな。
そう考えると、もしかすると俺の言葉もニュアンスだけなら伝わるかもしれん。
ちょっと、試しになんか言ってみるか。
「あのー――」
「キィィ!?ピィィ!?」
俺が口を開くとジェットパックイルカは空に逃げ出した。
そして中空くらいの場所で俺のことを監視している。
まさか俺が喋れるとは思っていなかったらしい。
もしかして、この世界の人間って動物ですか?
だとしたら動物の分際で喋ってすみません……
評価や感想をくれると失踪しない可能性が高まります。




