6話:絶対王政キャバクラの誕生
ーー 聖典議会の絶望的な切り札
聖地エル・グラディスの魔力炉心がたった三秒で奪われたという事実は、聖典議会にとって世界の終わりを意味した。議会の長である大司教ザルキスは、恐怖と怒りに顔を歪ませた。
ザルキス:「バカな! あのような力は、女神の御加護を越えている……! 魔力炉心は、世界が定めた『聖なる存在』の定義そのものだったはず……!」
もはや通常の騎士団や魔法使いでは、サトルに触れることすら不可能だ。残された唯一の希望は、世界システムが対抗策として用意した、特別な存在のみだった。
ザルキス:「全勢力に告ぐ! 直ちに『六大聖騎士』を招集せよ! そして、『聖剣の勇者』を、最後の肉として目覚めさせるのだ!」
聖剣の勇者は、女神によって「いかなるチート能力も無効化する力」という、サトルへのカウンター定義を与えられた対転生者用の最終兵器だった。
ーー 絶対防衛要塞の定義
魔力炉心を奪取した俺は、悠長に敵の出方を待つつもりはなかった。
俺:「ハルカ、アヤメ。早速、俺の『キャバクラ』の基盤を造る。場所は、この聖地エル・グラディスの跡地だ」
アヤメ:「この場所を? 『遺跡の支配』でコアの魔力全てを集中させれば、古代の絶対防御シールドを瞬時に展開可能です。魔力は無限ですから……」
ハルカ:「ゲームの知識では、この聖地は『女神の加護』を最大限に受ける地形です! その魔力をサトル様の力で反転させれば、世界最強の要塞になります!」
(内心:優秀なスタッフだ。俺の『キャバクラ』は、単なる店ではない。この世界を支配する絶対的な拠点でなければならない)
俺は魔力炉心から溢れ出る無限のエネルギーを使い、聖地全体に新たな「存在の定義」を上書きした。
俺:「この聖地の敷地、その存在の定義を『サトル・タナカの絶対不可侵領域』、別名『キャバクラ・ラグナロク』とする」
その瞬間、崩壊した聖地の中心から、黒いクリスタルと金色の装飾に彩られた、威圧的かつ豪華絢爛な巨大な建造物が、数秒で天空に向かって立ち上がった。それは、世界最強の要塞であり、最高の歓楽街を予感させる異様な光景だった。
キャバクラ・ラグナロクの定義:
外壁: 「いかなる魔法、物理攻撃も『無効』と定義される。女神の加護も『無効』と定義される」
空間: 「内部の空間は、常に最も快適で、最高の酒と音楽が無限に湧き出る状態と定義される」
内装: 「スタッフ(ハルカ、アヤメ)にとって最高の職場となるよう、最も豪華で露出度の高いユニフォームが標準装備と定義される」
ーー 勇者セシリアの無力化とスカウト
要塞の建設が完了した直後、上空から六つの光が降りてきた。全身を聖なる鎧で覆い、まばゆいオーラを放つ六大聖騎士だ。そして、その中心には、黄金に輝く聖剣を携えた一人の凛とした女性、聖剣の勇者・セシリアが立っていた。
セシリア:「貴様が、魔力炉心を奪い、世界に混乱をもたらした邪悪な存在か! この聖剣は、貴様の悪しき力を無効化する!」
勇者は聖剣を掲げ、絶対的な神の裁きというオーラを纏って、要塞へと突撃してきた。
まず、聖騎士たちの身体を覆っていた聖なるオーラが、一瞬で七色のネオンの光へと変わり、彼らの鎧は、蝶ネクタイと燕尾服へと変化し、聖騎士の聖剣は、金色のシャンパンタワーへと変化した。
しかし、聖剣の勇者セシリアの聖剣だけは、聖なる光を保ったままだった。女神の「対チートカウンター」が作用している証拠だ。
ここで俺たち3人の間に、極限の緊張が走った。
セシリア:「フン。神の加護が効かないのは認めましょう。ですが、この聖剣は世界の理を司る女神の切り札! あなたの悪しき定義など、力で打ち破る! 六大聖騎士、続け! この邪悪なる魔王に、神の裁きを! 」
セシリアの叫びと同時に、ネオンの光を放つ六大聖騎士が完璧な隊列で突撃を開始した。彼らの身体からは、聖なるオーラが、強制的に黒いコートのユニフォームから逆流するように噴出しており、その圧力は空間を歪ませるほどだった。
ハルカ:「ひっ! だめです、サトル様! ゲーム知識によると、六大聖騎士の合体攻撃は、大陸を半壊させるほどの威力です! 」
アヤメ:「バカな……! 『チート無効化』が、私たちの計算を……! このままでは、要塞が……! 」
ハルカとアヤメが絶望的に叫ぶ中、セシリアの聖剣は、六人の騎士の魔力を全て集束させ、巨大な光の柱となって『キャバクラ・ラグナロク』の外壁に向かって放たれた!
その一撃は、要塞の絶対防衛の外壁に唯一触れることができる、世界で唯一の武力だった。聖剣の光は、外壁を一筋の光の線で切り裂いた。彼女の力は、まぎれもなく世界最強の武力だ。
俺:「さすがは勇者。女神がお前を『対チート兵器』として定義しただけのことはある。その力、まさに最強だ」
俺は冷静に彼女の力を称賛した後、冷徹に言い放った。
俺:「だが、俺の辞書に『無効』という言葉はない。あるのは『支配』だけだ」
俺はセシリアの力を破壊せず、その運用定義を支配下に置くことにした。
俺はセシリアの足元の空間の定義を上書きした。
俺:「セシリアが立っている空間、その存在の定義を『無限の粘性を持つ、絶対的な麻痺毒』と定義する」
セシリアの体は剣を振り上げる途中で、ゼリーのような粘り気と強烈な麻痺に襲われ、硬直した。聖剣の光はそのままに、彼女は完全に無力化された。一瞬の出来事だった。
俺は鼻で笑う。
俺:「ようこそ、俺の楽園へ。お前は『客』ではない。俺の『武力』、そして三人目の『スタッフ』だ」
俺は動けないセシリアに近づき、冷たい指先でその顎を上げた。彼女の瞳には、怒りと敗北、そして微かな恐怖が入り混じっていた。
俺:「聖剣の勇者セシリア。お前は今日から、俺のキャバクラの『最強の用心棒』だ。お前の武力は、この世界を支配するために必要不可欠だ。もちろん、拒否権はない」
俺の言葉と共に、セシリアの聖剣は光を保ったまま、彼女の背中に黒いコートのエンブレムとして固定された。こうして、最高の武力を持つ三人目のスタッフが、強制的に支配されたのだった。
お読みいただきありがとうございます。
ブックマークや下の☆☆☆☆☆にて評価いただけると嬉しいです。




