2話:覚醒と復讐の夜明け
――全身を焼くような激痛。急速に遠のいていく意識。
(内心:肉……? 裏切り……肉にされる…… クソッ、俺は……このまま終わるのか……? 目立たない平和な生活……ふざけるな!)
意識が完全に途切れたと思った瞬間、俺の頭の中に女神の声が響いた。
『嘆くことはない、田中悟。君に与えたチート能力は、この世界が持つ常識とは根本的に異なる。「存在そのものを定義する力」だ。君の肉体は、君が「存在する」と認識する限り、滅びることはない』
俺は暗闇の中で、ゆっくりと肉体が再生していくのを感じた。心臓が鼓動を取り戻し、神経が繋がっていく。この完全再生能力こそが、俺のチートの真の姿だった。
同時に、俺の心から「目立たないように」という甘い願望は完全に消え去った。残ったのは、強烈な憎悪と冷たい殺意だけだ。
(内心:そうか。俺を裏切ったのは、あの三人の女だけじゃない。 この、転生者を狩ることを「システム」としている、この世界そのものだ。女神……お前もグルか……)
俺は、暗い地下室のような場所で目覚めた。隣には、麻袋に詰められた別の転生者の死体らしきものがある。ここは、「肉」を処理するための施設らしい。
俺はゆっくりと立ち上がる。黒いコートは血と泥で汚れ、肉体は再生したばかりだ。
俺:「平和な生活? もう知るか。 この屈辱と痛み、絶対に忘れねえ。俺の力で、この邪悪な世界を、根底からぶっ潰してやる」
ーー 黒い炎と最初の復讐
俺は初めて、チート能力の枷を外し、全開の力を解放した。
壁を伝って施設の外に出ると、そこには長老とガルドたち、そして三人の裏切り者が、報酬の分配を終えたばかりの様子で立っていた。
タオが特級ロインを頬張り、笑っている。
タオ:「やっぱり転生者の肉は美味しいね! 長老様、次の肉も早く仕入れてね!」
リーファ:「これでしばらくは研究費用に困らないわ。これであの男の血と肉から、魔力増幅の秘薬を作れるかしら」
マリー:「ふふ、これでサトルさんのお金も服も、全部私たちのものだね。次は、誰を騙そうか? 」
その醜悪な笑顔を見た瞬間、俺の怒りの感情が、チート能力を暴走させた。
俺の体から、黒い炎のような魔力が噴き出す。それはこの世界の魔法とは異なる、全てを「無」に帰すような、純粋な破壊の力だった。
俺は「目立たないように」という過去の自分を嘲笑いながら、無詠唱で広範囲の殲滅魔法を発動する。
俺:「――これが、お前たちが『肉』と呼んだ男の、本当の力だ」
魔力の津波が、長老、ガルド、そして三人の裏切り者たちを容赦なく襲った。
「な、なんだこの力は……!?」
「くっ、まさか……!?」
「いやぁああっ!」
三人のヒロインたちの悲鳴は、一瞬で塵となって消えた。
ーー 世界への宣戦布告
肉の処理施設は跡形もなく消滅し、そこに残ったのは、黒いコートを纏い、冷徹な目を光らせる俺だけだった。
俺は、崩壊した街を見下ろす丘の上で、空に向かって静かに宣言する。
俺:「転生者狩り? 肉? キャバクラ接待? いいだろう。この世界が俺を支配しようとしたのなら、今度は俺がこの世界を支配する番だ」
俺は、「田中悟」という名前も、「Gランク」という過去も捨てた。
これより、俺の新しい物語、邪悪な世界への復讐が始まる。
すべては、最高の俺だけの楽園を、この世界を壊して築くために。
ーー 新たなスタッフの獲得(無慈悲なスカウト)
殲滅魔法で街の一部が黒いクレーターと化したのを確認し、俺は「存在の定義」の能力を使って、「次に肉にされようとしている転生者」の居場所を探した。
(内心:あのチョロい濾過魔法や科学の知識なんて、この本当のチートを隠すための目眩ましに過ぎなかった。無知で謙虚だった過去の俺は、まさにこの世界に最適な『狩りやすい肉』だったわけだ)
俺の意識は、次に転生者が処理される予定の、遠く離れた地下牢へと瞬時に飛び、肉体を追従させる。
地下深く、魔力抑制の鎖につながれた一人の女性がいた。彼女は、現代日本の制服姿をした女子高生で、目の光を失い、恐怖に震えている。おそらく、召喚されて間もない転生者だろう。
俺は一瞬で地下牢の壁を崩壊させ、彼女の前に立つ。冷たい黒いコートと、その背後にある破壊の痕跡を見て、彼女はさらに怯えた。
女性:「ひっ……! あ、あなたも……私を……狩りに来たの……?」
俺は一切の感情を込めずに、彼女を見下ろす。この世界で「肉」として扱われた彼女の絶望は、俺の復讐の最高の道具であり、スタッフになる。
俺:「安心しろ。俺はお前を喰わない。だが、お前はもう自由ではない」
彼女は混乱した表情で俺を見つめる。
俺:「お前の名前は? 」
女性:「……ハ、ハルカ……です」
俺:「いいか、ハルカ。お前はこの邪悪な世界にとって『肉』だった。だが、俺にとってお前は『商品』だ」
俺は、その言葉を有無を言わさぬ絶対的な力で彼女の魂に刻み込むように宣言する。
俺:「今日からお前は、俺の『キャバクラ』のスタッフだ。最高の楽園を築くために、絶対に俺に逆らうな。その代わり、俺がこの世界全てからお前を守ってやる」
ハルカは俺の圧倒的な力の残滓と冷たい眼差しに射抜かれ、抗う意志を失った。絶望の底にいた彼女にとって、支配されることこそが、唯一の救いだと悟ったのだ。
ハルカ:「は、はい……サトル様……」
こうして、最高の復讐者の隣に、最初の新しいスタッフが加わった。邪悪な世界と冷酷な主人に支配される、新たなハーレム(キャバクラ)の建設が今、始まった。




