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ぼくのともだちのはなし

作者: 風土帽




 ドボンッ



 ああ、またぼくの中にニンゲンが落ちてきた。

 今度のニンゲンはそのままどんどん落ちていく、珍しい。

 大抵のニンゲンはぼくの中に落ちると、上に行こうと手足をばたつかせたり、大きな泡をいっぱい出すんだ。なのにこのニンゲンは何もない。そのまま下に下に落ちていく。


 あ、今大きな泡を出した。

 沈んでいく、沈んでいく。ニンゲンは動かない。



 こんにちは、ぼくの〇〇番目のともだち。






 辺りが眩しくなったころ、ケーサツっていうのがきた。

 車が橋の上に何台か止まっている。

 ぼくの上を板に乗って、中を棒でつついてくる。ちょっとくすぐったい。


 色んな声が聞こえる。



「またここで自殺だなんてな」


「もう生きてはいないだろから、せめて遺体だけでも探さないと」


「本当にここなのか?」


「この子の同級生の話では、三角橋に向かうとメッセージがきていたから間違いないだろう」


「は?その同級生は止めなかったんすか?」


「またいつもの癖だろうと気にしなかったんだそうだ。まさか本当に死ぬとは思ってなかったってよ」


「お?なんかここだけ感触が違うぞ」


「ここ潜水できるか?」


「…………危険ですね。濁りが酷すぎて何も見えないので捜索は難しいです」


「…………なあ、ここさっきまでこんなに濁ってたか?」


「いや、下まで澄んで見える訳じゃなかったが船の下まで見えなくなるほどじゃなかった」


「どういうことだ?」


「先輩、知らないんすか?ここ、死体が見つからないことで有名な湖なんす。だから、遺体を見つけてほしくない人にとって格好の場所なんすよ。そんなんだから、心霊スポットとしても有名で度胸試しで湖に飛び込んでそのまま亡くなった人もいるっす」


「お前詳しいな」


「自分、ここから地元近いんすよ。実際自分の学校でイキってる先輩たちがここにきて、飛び込んだ奴が亡くなったって話があったっす。その先輩の遺体も、今みたいに急に水が濁って結局見つからなかったみたいっす」











 あげないよ、あげないよ。


 このニンゲンは、ぼくのともだちだ。


 ぼくたちとずっと一緒に過ごすんだ。










 かなり短いですが、なんか怖いな~という雰囲気だけでも感じていただけたら幸いです。

 最後までお読みいただきありがとうございました。

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