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第6話 絡め手♡悪役令嬢自滅作戦?

ここは昼休憩中の学園のロビー

中庭で友人とランチをしようとする女子の集団、食堂に向かう男子、おしゃべりに夢中なグループ ——— たくさんのモブで溢れていた

そのなかに…王子とレティシアがいた———群衆の中でも金と銀の配色は目立つ

そして邪魔してきそうなモブ従者は近くに姿は見えない———ラッキーと私は思わず心の中で呟いた

乙女ゲームのテンプレ!うっかり転んじゃって王子に抱き着こう!身体接触事件でドキドキ!!………わざと茶化してみたが心はちっとも軽くはならなかった

(……これが嫉妬を引き出すには一番手っ取り早い)

やりたくなかった…けど、これが一番効率的なんだ……やるしかない


「王子さまっ!こんにちは!わぁ…今からお昼ごはんですか?」

私は大きな声で階段上から王子に声をかけた。王子が私に気づいて視線を向けてる事を意識しつつ、足早にロビーに向けて階段を降りる


(ここで……転ぶっと……)

段差に右足をかけた。さすがに”階段から”転ぶのは怖い。視界がにじむ、冷汗が止まらない…昔を思い出す……でも、やるしかない。決意を込めて、階段の段差を踏み外すと、私の喉から勝手にきゃあっという声が漏れた


私を受け止めようとする王子の姿を何とか確かめて…恐怖のあまり私は目をつむった

ガタンっっ!!大きな衝撃が身体に響いた。痛い—痛い——痛いよ。クソ痛い

痛みに泣きそうになったけど、モブたちの声で正気に戻った。

「アリシア嬢、顔から落ちたぞ!」

「大丈夫のなのかしら!」

「レティシア様なんで間に入ったの?……ひどくない?」


(痛っ·····痛っ!!なに?なんなの??レティシア??)


私はは顔面の痛みに耐えつつ、周囲を冷静に観察した。

地面に突っ伏した視点の先——レティシアは王子に抱きつくような体勢で、その顔は見えなかった。

王子は驚いたような、照れたような、慌てたような……感情が渋滞した面白い顔をしている。

「王子·····お怪我は?」

レティシアは声を王子にかけているが——表情はもちろん見えない

すると、王子は我に返ったようにいつもの優しげな微笑みに戻り、レティシアに「何もないよ」とひと言かけると、私の方に向かってきた

「アリシア嬢…怪我はないかい?……顔に擦り傷があるよ。立てるかい?医務室に行こう」

そう言って王子が差し出した手を私は握った

その瞬間、

「きゃ~!!」「ロマンチック!!」「殿下とアリシア嬢お似合いね」

モブたちが野次馬の様に私と王子の関係を邪推して盛り上がっていた

レティシアはいつもの凪いだ瞳も取り繕った無表情でもなく——茫然とした顔でこちらを見ていた


(…違う。こういう方向に使いたくて、人が多いところを選んだわけじゃない)

私はどうしたら、この騒ぎを落ち着かせられるか必死に考え始めた。


すると、しばらく茫然としていたレティシアが普段通りの表情に戻った。「·····っ」と何かを言おうとしたその時、


「みんな、騒がせてしまって申し訳ない」

王子の柔らかい声がロビーに響いた

「おわびに料理人にランチにデザートを1品足すように言っておこう。昼休みも短いから良ければゆっくり食べるといい」

柔らかく微笑みながら周囲を見渡し、声をかけていた。

その声にモブたちも我に返ったのか、落ち着いたのか、それぞれ様々に昼休みに戻っていった。


(場のおさめ方が私に似てる……)

果実水の時と言い、似てないのに、何故か既視感を感じた。


「アリシア嬢…改めて医務室に行こうか」

王子は私の顔を見て、再度そう声をかけてきた

「あっ顔をすりむいただけなんで」

私は自分の顔の擦り傷を治癒の力で治した。乙女ゲーってこういうのは便利。体の傷は簡単に治る。心の傷は·····無理だけど。さて·····当初と展開が変わったけど、レティシアは?

「レティシア。どうしたんだい?君らしくない。理由を—」

「殿下、騒ぎを起こして申しわけありません」

レティシアはらしくなく王子の発言に謝罪を重ねて遮ると私に

「アリシア嬢·····怪我は…大丈夫なのですね·······っ、ごめんなさい」

そう言ってゆっくりと去って行った

私は王子にぺこっとお辞儀をすると追った。レティシアはまた雑木林にいた。


「····················」

レティシアは大木に額を当てて黙って立っている。表情は——もちろん見えない


(·····喋ってくれないと、泣いてくれないと本物か分からないじゃない)

私は戸惑った

(あなたが証明してくれなきゃ、私のやってること悪じゃん…意味ないじゃん)

どうしていいか分からなかった

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