第4話 シチュー
アリス姉弟がうちで働くことが決定したが、一つ困ったことがある。
―――そう、飯だ。昨日食料を使い果たしてしまったのだ。
とりあえず朝ご飯分ぐらいのシチューは残っているので、朝はそれを食べることにしよう。しかし、昼に食べるものがなにもない。食料庫に残っていたものは昨日食べ尽くしてしまったし、ヒューゴが熱を出しているので街に行くこともできない。そもそも街に行くのであれば丸一日移動と買い物で終わってしまうのだから、店の定休日でもない限り行けないのだ。
「さて、どうしたものか」
「なにかありましたか?」
アリスが心配そうにこちらを見てくる。
「いやー、お昼ご飯どうしようかなって」
「良ければ私が作りますよ」
その好意はありがたいが、肝心のものがないのである。
「うーん…材料がないんだよね」
そう言うと、アリスは困ったような顔になった。
「それは困りましたね。朝ごはんの分はあるんですか?」
「昨日のシチューが残っているから、朝ごはんは食べれるよ」
「じゃあとりあえずシチュー温めますか」
「そうだね」
暖炉の近くに昨日のシチューを持っていき、温める。焦げないように混ぜながら、15分ほど温めれば出来上がりだ。1皿分盛り付け、子供部屋に持っていく。ヒューゴの顔色は朝起きたときと比べると幾分かましになっていた。
「食べられそうかい?」
「…はい。大丈夫、です」
「無理しないで食べな。体を温めてね」
「はい」
部屋から出たあと、自分とアリスの分のシチューも盛り付け、食卓に座って食べる。お昼ご飯のことを考えながらシチューを黙々と口に運ぶ。会話はない。会話するほど親しくなってもいない。今後は個々を笑顔あふれる食卓にしたいものだ。
静かに食べていると、いつの間にか食べ終わっていた。アリスも食べ終わったのを確認してから、お昼ご飯について相談を始める。
「お昼ご飯のことなんだけどさ」
「はい」
「材料は私が森で採ってくるから、家でヒューゴの看病を任せたいんだ」
「了解です」
「良し、じゃあそうと決まれば行ってくるね」
戸棚から弓矢と短刀を取り出し、装備していると、アリスが慌てて止めに来た。
「採ってくる…って、一人で森の生き物獲るつもりですか!?危ないですよ!」
「大丈夫、いつもやってるし」
普段からこの程度やっているのだ。森にも数え切れないほど入ったので迷うことはない。
「そうは言っても危ないですよ!魔獣に襲われたらどうするつもりなんですか!」
「このあたりに湧く魔獣ぐらいなら倒せる。余裕」
この家の近くは、森に近いせいかよく魔獣が出るのだ。狼のような姿をしていて、そこそこ危険な魔獣だ。助けてくれるような人もいないので、仕方なく自分で対処している。本物の狼とも大して変わらない動きなので、弓矢があれば倒せる。
「…規格外過ぎますよ」
なにか聞こえたような気もするが気にしない。今はお昼ご飯を用意することのほうが大切なのである。
ヒューゴの部屋に行って器を回収し、皿洗いを済ませる。ヒューゴはシチューを食べきってくれていた。食欲はあるようだ。よかった。
皿洗いを終わらせると、自室で動きやすい格好に着替え、手袋をする。そうすれば準備は万端。玄関の扉を開け、家のすぐ後ろにある森へと歩みを進めた。
久しぶりの投稿です。久しぶりとかいう次元じゃない気もしますが。
短めになってしまいました。
ちょっとだけ書き溜めたので、更新が早くなる…かもしれないです。




