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プロローグ
空気が凍てつく、とても寒い夜のことだった。
しんしんと雪が降り積もる中、熱を持っていたのは親を亡くした私と、私が持っていたランタンだけだった。あの戦いで私以外唯一生き残った幼馴染もいなくなってしまった。家族、友、住む場所、感情、生きる意思。全てを失った私にとって、自らの体の熱を奪っていくこの雪はむしろ幸運だった。
ああ、やっと死ねる。やっと父様と母様に会える。そう思っていたのに。
「どうしたの、君」
もしもあの時、差し出された手を取っていなかったら、私は今頃どうなっていただろうか。