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第7夜 「路地裏の出会い」

「ソフィアちゃん、マギー、何か食べたいものある?」


「私は特にアンナさんのオススメの所ならどこでも」


「私も彼女と一緒ですマネージャーの行き付けに連れて行ってください」


私はレナとの仕事を終わらせた後レナと別れアンナさんとマギーさんと共に夕食を食べに歓楽街へと繰り出していた。


「分かったはじゃあ私と姉さんの行き付けに行きましょうか」アンナは二人の手を引きネオンに照らされた通りを歩いていく、そしてある通りの一角で止まった。


「着いたはここにしましょう」


アンナに案内された店は古いイタリアレストランだった私とマギーはアンナに連れられ店に入った。


「結構雰囲気の良いお店ですね」マギーが店内を見回しながら言った。


店内は外装とは違い綺麗な作りになっておりしかし小綺麗と言うには古さも残してあり、昔の古い映画で見たマフィア達の会合に使われそうな隠れ家的な店だった。


「それじゃあ、私はいつも頼むもの決まってるから二人はメニューみてゆっくり決めてね」


アンナさんはそう言ってメニューを私達に渡してきた。


「それじゃあ私はボロネーゼにするは」


マギーがメニューを決めたので私もメニューを見て言った。


「それじゃあ私は、マルゲリータとアヒージョとカルボナーラ、後デザートにマリトッツォ」


私が頼み終えると二人共驚いていた。


「ソフィアちゃん結構大食いなのね」


「それでそのスタイルは羨ましいな」


「え?これでもかなり少なめですよ?」


二人は驚いた顔で見合わせていた。


「それじゃあ料理も来たし乾杯しようか」


私達はアンナさんの乾杯の音頭でグラスを付けた。


30分後


「本当に姉さんの色ボケにはうんざりよ!」


アンナさんが頬を赤く染めながら言った。


「でもオーナーはちゃんと私達一人一人をちゃんと愛してくれていますよ」マギーもグラスを傾けながら言った。


「そう言えば聞きたいんですけど何でアンナさんとオーナーは娼館を開く事にしたんですか?」


私が聞くとアンナとマギーが目で合図する。


「そうねソフィアちゃんも入ったばかりだし、後から言おうと思ってたけど良い機会だし話しちゃおうかな」アンナさんはそう言って懐から一枚の写真を出した。


その写真にはスーツ姿の男達が写っており、写真の右端に二人の人物が写って居た。


一人は赤髪をお下げにし左から流して笑顔で写る少女、そしてもう一人は赤髪をポニーテールにし腕を前に置き鋭く冷たい視線で写る少女だった。


二人とも黒いスーツを身に纏い笑顔の少女がもう一人の少女に腕を絡めて写って居た。


「これってもしかして、、」


「そうよ今から8年前私と姉さんがファルコーネさんの所に居た時の写真よ」アンナが静かに言った。


「え?じゃあこの笑顔の人がアンナさん?」


私が指差しながら言うと。


「それは姉さんで私は隣の目つきが悪い方よ」


アンナさんの言葉を聞き私は2度見した。


「え!?この今にも人を殺しそうな人がアンナさんなんですか?」私は自分で言って口を噤んだかなり失礼な事を言ったと思いアンナさんを見ると。


「そうなのよ、やっぱり恥ずかしいな」アンナさんが顔を紅潮させ恥ずかしがっていた。



「じゃあマギーさんはどれなんですか?」


私が隣のマギーに視線を向けると。


「ん?当ててよソフィアちゃん、間違えたらお仕置きにエッグいキスしちゃうからさ!」完全に出来上がっていた。


私は写真を必死に見て一人の少女を指差した。


「これですか?」その写真には黒いタイトなドレスを着た可憐な少女が写っていた。


「流石に違いますかね」


「当たり!よく分かったねソフィアちゃん!お姉さんがご褒美あげちゃうね!」


「え?何ですか?嫌、ちょっと待って!」


私はマギーに押し倒されエッグいキスをされた。


「マギーとソフィアちゃんたら大胆だなアハハハ」


アンナさんは私達を見ながら笑っていた。


「ご馳走様すごく美味しかったよソフィアちゃん」


「汚された、私のファーストキスはエッグいキスで味はほろ苦いお酒の味だった。」


ご褒美タイムが終わり満足げなマギーの横で一人黄昏ていると。


「それじゃあ私と姉さんの話をするわね」アンナさんは写真を眺めながら当時の話を語ってくれた。


8年前、、ファルコーネファミリーの屋敷に二人の掃除屋が居た。名をマリアとアンナ彼女達は双子の孤児であり12歳の頃にファミリーの掃除屋であるジョルジーニョ•モンテロにより拾われた。


彼が彼女達を拾ったのは偶然だった、いつもの様に仕事をこなし帰ろうとした際気配を感じた。


見ると衰弱したアンナを必死に看病するマリアが居た。二人は孤児院の虐待に耐えかね脱走したのだが子供二人ではどうする事も出来ずやがて二人は路地に住み着きその日暮らしをしていた。そして元々身体の弱かったアンナが倒れそれを姉であるマリアが必死に看病していたのだった。


「よう、お嬢ちゃん何か困り事かい?」モンテロが二人に話掛けたのは本当に気まぐれだった。ホームレスの子供が野垂れ死ぬ光景などいくらでも見てきた。そうこれは何処にでもある珍しくもない出来事だった。


「妹に近づくな!」マリアはまるで追い詰められた狂犬の如くアンナを背にして守っていた。その幼い瞳には深い絶望と怒りが宿っていた。


「なあにとって食ったりなんてしねえよ、たまたま見掛けたから声を掛けただけさ」雨が路地のトタンを叩く音が響くなかモンテロはタバコに火を着けた。


「私、見てたよあんたがさっきあの場所で何をしてたのか」マリアが俺の居た場所を見ながら言った。


「そうか見られちまったか、なら仕方ないな」


モンテロは懐から銃を出しマリアに向けた。


「お嬢ちゃん、最後に言い残す事はあるかい?」


モンテロが引き金に指を掛けながら聞いた。


「あるよ、私はどうなっても良いでも妹のアンナだけは助けて」マリアは真っ直ぐモンテロの目を見て言った。


「お嬢ちゃんは命乞いしないのかい?」


モンテロが静かに言うと。


「あんたみたいなクズに命乞いなんてするかよバカヤロー!」マリアは勢い良く中指を立てた。


「そうかじゃあな」


モンテロは躊躇無く引き金を引いた。


カチン!


モンテロが引き金を引いたが弾丸が出る事は無かった。


「ア、あぁ」マリアが気の抜けた声で腰を抜かす。


「運が良かったなお嬢ちゃん丁度ジャミングを起こしたみたいだ」モンテロの銃を見ると弾がスライドに引っ掛かり誤作動を起こしていた。


「それにしてもお嬢ちゃんいい度胸しているなどうだ?一度死んだと思って俺の所に来ないか?」


モンテロはマリアと同じ目線に屈み込み優しく言った。


「誰があんた何かと」マリアが拒絶するが。


「良いのかい?あっちのお嬢ちゃんは今すぐ医者に見せた方が良いぜ?」モンテロが指差す先にはダンボールに包まれ虫の息のアンナが居た。


「そうだけど、でも」


マリアは泣きそうな顔で俯きながら考えるするといきなり路地中に響く程の腹の音が鳴った。


「何だお嬢ちゃん何も食ってねえのかよ」マリアは顔を赤くする。


「心配要らねえよお嬢ちゃん達がどんな扱いを受けたかは分からねえ、けどよ何時までも意地張ってるだけじゃ何も先に進めないぜ?」モンテロの言葉を聞きマリアは顔を上げる。


「分かった、私と妹を助けて!」マリアの正直な言葉にモンテロは笑顔で頷く。


「そうだよ、それで良いんだよ!それじゃあ来なそっちのお嬢ちゃんは俺がちゃんと医者に連れて行くし、君は」モンテロがアンナを抱きかかえながら言った。


「俺が作った世界一美味い飯を食わせてやるよ」


こうして二人はモンテロに拾われ彼の元、暗殺術を磨き今では一人前の掃除屋になっていた。


第7夜 「完」


第8夜に続く。

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