第4夜「フロアマネージャー」
「ソフィア、何か食べたい物ある?」
「そうね、あっさりした物が食べたいな」
そう言いながら、私とレナは店を出て通りを二人で歩いていた。
今の時間帯は歓楽街と言うこともあり、夜とは違いとても静かな街並みだった、夜と朝二つの顔を持つこの街を歩きながら見て廻っていると。
「ソフィア、この店で食べよう?私の行きつけなんだ」
レナに呼ばれてみると通りの角のダイナーレストランの前に立って手招きしていた。
店の名前はジョーズダイナー店内にはお客は居らず私達の貸切状態だった。
「いらっしゃい、おお、レナか隣のお嬢さんは連れかい?」カウンター越しに初老の男性が話しかけてくる。
「久しぶり、ジョーさんこの娘は新入りのソフィア私のパートナーなんだ」
「すると、あんたの女かい?」ジョーが冗談交じりに言った。
「違います!レナは私の仕事の先輩です、それに命の恩人でもあるんです」
「そいつは悪かったよ、歳を取ると憶測で言っちまうんだよ、お詫びに好きなもん頼みな今日は俺の奢りだよ」ジョーが気前良く言った。
「それじゃあ、私はいつものでソフィアは?」
「じゃあ、私も同じので」
「いつものだな、10分程待っていてくれ」
ジョーはオーダーを取ると直ぐに料理に取りかかった。
10分後「待たせたな、俺特製のピザトーストとフライドポテト、それにコーラだ」私達の前に料理が置かれた。
「朝から、結構食べるんだね」
「食べてみなよ凄く美味しいから」
私はレナに言われ、トーストを口に入れたするとチーズが口の中で溶け染み込んでいく感覚があり、付け合わせのトマトの酸味と合わさりとても良い味を出していた。
「美味しい!こんな美味しいチーズとトマト初めてかも」私が驚いて言うと。
「お嬢さん良いところに気づいたな、うちの使っているチーズとトマトはイタリアから取り寄せてるんだ、俺の爺さんがミラノの出でねイタリアンには自信があるんだよ」自信満々にジョーが答える。
「それで一気にコーラで流し込むんだ」
そうに言ってレナはトーストを食べながらコーラを飲んでいた。
「本当だ以外と合うもんなんだね」私もレナに習って試していた。
「所でレナよ、最近ボスは元気かい?」
「マリアなら相変わらずだよ、今日もソフィアに手を出そうとしてアンナさんに折檻されてたよ」
レナはいつもの出来事の様に語る。
「相変わらずだな、俺が教えて来た奴等の中であの二人は最高のヒットマンだったからな」ジョーがタバコに火を点けながら言った。
「ヒットマン!?オーナーとアンナさんが?」
私は驚いて聞いた。
「おや、聞いてないのかい?てっきり知っているかと」
「私から説明するよジョーさん」レナが食べながら言った。
「ソフィアは入ったばかりで知らないけど、アンナさんとマリアは昔ファルコーネファミリーの掃除屋をしてたんだよ」
「ファルコーネってあの!?」
「そう、この街一番の権力者のねでも二人はそんな生活に嫌気が差してファルコーネを抜けたんだよ二つの条件でね」
「その条件とは?」
「まず一つ目はマリアがファルコーネの娘から離れる事そしてもう一つは、当時ファルコーネと双璧を成していた組織ガンビオーネファミリーを潰す事だったんだよ」
「噂では聞いた事あるけど、もしかしてオーナーの正体って」
「そう、ラビットと呼ばれる掃除屋だったんだよ」
レナはあっさりと衝撃の事実を伝える。
「あの2人があのラビット!?女だし、しかも二人組だったなんて」
「私も最初は驚いたよ、まあマリア達は噂通りガンビオーネを潰す事に成功してファルコーネからこのハーレム街の利権を譲り受けて、今に至るんだ」
「そんな、過去があったなんて」
私が話の大きさに驚いていると。
「そして、ジョーさんは二人の師匠なんだよ」
この日一番の情報をサラッと話した。
「ええ!ジョーさんが?ラビットの師匠?」
「昔の話だよ、今は唯のダイナーのコックさ」
ジョーがあっさりと答える。
「朝ご飯も食べたし、店に帰ろうかごちそうさまジョーさんまた来るね」
「ごちそうさまでした!とっても美味しかったです」
「ああ、また来てくれよお嬢さん方またな」
私達はジョーにお礼を言って店を出た。
ラビット•ガーデンに戻ると人が集まっており、開店前の準備をしていた。
「おはようレナ!」「おはよう、その子が新しい子?よろしくね!」店に入ると店の女の子達が挨拶をしてくれた。
私とレナは一人一人に返しながら階段を登り事務所に向かっていた。
「おはよう、マギー今日何かやって欲しい事ある?」
レナと事務所に向かう途中マネージャー室にいた女性に話しかける。
「あら、おはようレナ、後そっちの子は」
「初めまして、昨日新しく入った新入りのソフィアですよろしくお願いします!」私はその女性に挨拶した。
「初めまして、私はこの店のフロアマネージャーのマギー•ガンビオーネよ、よろしくねソフィアちゃん」
マギーが挨拶と共に手を差し出してきた。
「はい!よろしくお願いします、、きゃ!」
差し出された手を握った途端に私はマギーに引き寄せられていた。
「ごめんね、私なりの挨拶なんだ、ソフィアちゃんが可愛いくってついね」マギーの青い瞳が私を見つめており私は少し照れてしまった。
「マギー流石にいきなりは怖いと思うよ?」レナが静かに言った。
「ごめんね、怖がらせるつもりは無いんだ何か困ったことがあったら言ってね」マギーが優しく私を離して言った。
「そういえばマギー、最近マリアとはどうなの?」
レナがいきなり気になる話題を出してきた。
「それが聞いてよレナぁオーナーったら最近全く抱いてくれないんだ」さっきまでの真面目な雰囲気とは違いレナと話す時のマギーは少し駄目なお姉さんになっていた。
「なんだか、ごめんね多分私が原因だと思うから」
「そんな事ないは、私だって同じ立場ならレナと寝たいと思うもの」
「そうなの?私そんなに皆が言うほど魅力無いと思うけど」
「そんな事ないは!レナ貴方は凄く可愛いいはよ、でもオーナーが私を抱いてくれないのは私にも理由があると思うから」
「最近何かあったの?」
「最近忙しくて、オーナーと話せてないんだ、だからお互いすれ違ってると思うの」
「私からも言っておくから気にしないで、また何かあったら相談してよ、話位なら聞くからさ」
「ありがとうレナ、大好きよ」
その言葉と共にレナを抱きしめていた。
「マギーさん優しい人みたいだね」
「うん、私にとってはお姉ちゃん見たいな存在何だ」
「それじゃあ、事務所で仕事内容を聞こうか」
「うん、分かったは」
私とレナは事務所の前に着くとドアを開けて入って行った。
第4夜 「完」
第5夜に続く