表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ラビット•フッカーズ〜裏社会を駆ける二人の兎〜  作者: 二階堂曉


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

14/15

第14夜「大人の世界」

「お嬢ちゃん達いい仕事があるんだけど興味ない?」


「ありません」


「そんな事言わずにどうかな?そっちの小柄なお嬢ちゃんなんて直ぐにナンバー1になれるよ?」


「悪いけど私達ここの従業員なんだ」


レナがポケットから名刺を渡すとスカウトの若い男の顔が青ざめる。


「すいませんでした!まさかバニーズ・ヘブンさんの関係者様とは知りませんでした!どうか聞かなかった事にしてください!」男が深々と頭を下げて許しを乞う。


「レナどうするの?変な奴に絡まれたら連絡するようにってオーナーとアンナさんに言われてるけど」ソフィアの話を聞き男が地面に手を付いて謝る。


「本当に知らなかったんです!許して下さい!」震える男を見下ろしながらレナが条件を出す。


「今日声を掛けられたのはアンタで4人目でうんざりしてるんだ、だからアンタも私達に声を掛けないように他の連中に伝えてよ。」そう言われ男が激しく首を縦に振り走って逃げていった。


「流石に意地悪過ぎたかな?」


「良いんじゃない?この街の連中はあれくらい脅さないと切りがないし。」二人は少し軽口を交わしながら怪しいネオンに照らされた街を歩く。初めて夜のミッシェルストリートを歩くが昼とは別世界だった。昼は静かで簡素な大通りも際どい服装の女達が男を誘惑したり黒いスーツ姿の男達が酔っ払いのサラリーマンを暗がりに連れ込みこの街の治安を守る。そして青、赤、ピンクの色とりどりのネオンの看板が幻想的な空間を創り出していた。


「初めて見るけどかなり怪しい街並ね」


「そう?私の地元もこんな感じの所だよ?」


二人が話ながら歩いていると急に声をかける者達が居た。「お嬢ちゃん達今暇かい?良かったら俺達とあそばねえか?」声のする方を向くと壁にもたれ掛かりポケットナイフを上に投げる男が居た。その男の他にもこちらをイヤラシイ目で見てくる男や腕に無数の注射痕のある目の焦点の合っていない男が居た。


「悪いけど暇じゃないんだ遊びたいんならそこら辺の売春宿に行きなよ」レナが素っ気なく言って通り過ぎようとした時壁の男が立ちはだかる。


「おい、おい、寂しい事言うなよそんな冷たい言葉を掛けられて俺のガラスのハートが粉々になっちまっうよ」


男に続き他の仲間達も二人を取り囲む。


「どうするレナ?この人達通してくれないよ?」


ソフィアが不安気にレナに抱きつく。


「俺達は君達と仲良くなりてえんだよ言ってる意味分かるだろ?君達を見てると俺の息子がイキリたっちまうんだよ!こうなったのもお前らのせいだからよお前等は黙ってケツ向けてれば良いんだよ!」男がポケットナイフの刃をギラつかせながら言い放つ。


「言っとくけど私達が誰か分かって言ってるの?」


レナが呆れながら言う。


「ああ?どうせそこら辺で股開いてる売女だろ?良いからさっさと俺のナニでも咥えてろよ!」男がそう言いながらナイフをレナに突きつけようと前に出した瞬間、レナが男の手首を掴みひっくり返す男の身体は宙を舞い受け身も取れず叩き付けられる。


「痛え!てめえいい加減に、、」言い終わる前にレナが男の顔面をサッカーのパントキックの要領で蹴り上げる。男の顔面が凹み血の泡を吹きながら倒れる。


激しく痙攣する男を見下ろしながらレナが振り向く。


「まだやる?アンタ達もこのゴミみたいに一生流動食しか食べられなくするよ?」血塗れのヒールを男の服で拭き取りながら冷たく言う。


「冗談じゃねえよ!俺は逃げるぜ!」


「すいませんでした!許してくれ!」


仲間達は男を見捨て逃げ出した。「友達は選んだ方が良いよ?」男が激痛で悶え始めたのを見てレナがソフィアの元へ行く。


「いつもこんな感じなの?」


「まあ、大抵は名刺を渡すと黙るんだけどたまにああゆうモグリが居るんだよね、そんな時は実力で分からせてやるんだ」レナが嬉々として語る。


「でも大丈夫?その人死にそうだけど」ソフィアが震える手で指差す。


「大丈夫だよここでは人が消えても誰も気にしないからそれより行こうよ早く帰りたいし」


「うん、レナがそう言うなら」二人は男をそのままにして仕事に戻る。二人の背後で暗がりから出てきたホームレス達が男の身体を引きづって行くやがて男の身体が暗がりに消え後には静寂だけが残っていた。


「ここも回収終わったね皆きっちり払ってくれるから助かるよ」レナが売春宿から出てきながら言った。


「スムーズに終わってるけど意外と揉めたりしないのね」ソフィアもレナの後に続く。


「ここまではねこれから行く所はかなり面倒くさいんだ」レナが嫌そうな表情で言った。


「そんなに大変なの?」


「行ってみれば分かるよ」


二人は今古いレンタルビデオの店の前に来ていた。


「ここが面倒な所なの?」


「うん、ここのオーナーがマリアの知り合いなんだけどかなりイカれた人なんだよね」マリアの知り合いと聞きソフィアが強張る。そしてレナと共に扉を開けた。


「いらっしゃい、レナか久しぶりだな!今日はなんの用だい?」店に入ると直ぐにカウンターからドレッドヘアーの男が出迎える。


「久しぶりソニー今日集金で来たんだけど監督居る?」


レナに聞かれソニーが電話を掛ける。


「もしもしボス?今レナが来てるんですけど通してもいいですか?え?今収録中?ですが今日が集金日らしいんですけど、はい、はい、分かりましたそれじゃあ通しますね」ソニーがレナに鍵を渡す。


「何時もの地下のモニター室に居るからよこれでエレベーターに乗りな」


「ありがとうソニー」レナが鍵を受け取るとそのまま店の奥へと入って行く。ソフィアもソニーに一瞥するとレナに続いていく。


店のスタッフルームの先に行くと赤いエレベーターがあった、二人はエレベーターに乗り込むとソニーから受け取った鍵をエレベーターパネルの鍵穴に差し込む。


するとエレベーターが地下へと降りていく。


そしてエレベーターが止まり開くと無機質な部屋に無数のモニターが置かれた部屋が現れた。モニターの前には黒いスーツを着たオペレーター達がモニターをチェックしては操作する。そして部屋の真ん中でスーツを着た女性が立っていた。


「そうだ、素晴らしいねこれでこそ私の最高傑作にふさわしい。」彼女が見るモニターの先では全身に血を塗り手には人間の背骨の様な物を持った男と黒髪の少年が激しく切り合っていた。


「監督、監督、(あずさ)聞いてる!?」レナがモニターに夢中になっている女性に大声で話しかける。


「おお!レナか!久しぶりだね!」彼女は振り向くとレナをギュッと抱きしめる。


「相変わらず人の話を聞かないよね」レナがうんざりした顔で言う。 


「マリアは元気にしているかい?今丁度新作を撮っているんだよ」梓が嬉々として語る。


「あの、レナこの人が監督?」ソフィアが恐る恐る聞く。


「君は初めてだねでは改めて自己紹介しようか、私の名前は梓、マーダーズ・フィルム・ファクトリーの社長兼監督だ以後よろしくね」梓がにこやかに手を差し伸べる。


「よろしくお願いします」手を取り握手を交わす。


「それで今日はなんの用だい?」


「さっきソニーが言った筈だけど」レナがうんざりしたように頭を抱える。


「すまない、今収録中の映画で頭が一杯で忘れっぽくなっていてねもう一度言ってもらえるかな?」


「ハァ、だから今日が集金日で上がりを貰いに来たんだよ!早く払って!」レナが激昂しながら言う。


「ああ、忘れていたよそこの君金庫から持ってきてくれるかい?」オペレーターの一人に声を掛け梓が金を用意する。


「それじゃあ貰うね」レナが受け取ろうと手を出したのだが。


「その前に私の新作を聞いてくれよ!今度の作品は凄いぞ!世界中の殺人鬼を戦わせるバトルロワイヤル何だ、タイトルは「マーダーズ・エンゲージ」全3部作の超大作なんだよ!」梓が興奮しながら自らの作品を熱弁する。


「レナがうんざりしていたのってもしかして」


「そう、何時も受け取りに来るたびに聞かされるんだよ何時もは1人だけど今日はソフィアも付き合ってね」


レナが疲れた顔でソフィアの胸に顔を埋める。


「そこで私のスカウト達がね」1人熱弁する梓を尻目にソフィアが死んだ表情のレナを優しく撫でながら聞いていた。


第14夜 完


第15夜に続く


マーダーズ・エンゲージの本篇は連載中の一人語りで見れます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ