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#45 決意表明




ロイにがエルザに用意してくれたゲストルーム。

エルザはソファに掛けて、着替えに行ったアルが来るのを緊張の面持ちで待っていた。


足音がして間をおき、ガチャ、とドアが開かれた。



「エルザ、ごめんね。お待たせ」



背後にアルの声がした。

エルザは立ち上がって振り返り、アルの姿を見てきょとんとする。

騎士服ではなく、いつも店に来るようなラフな格好にフード姿のアルが、ニコニコとそこに立っていた。



「…その格好は…?」


「あ、うん。今後の決意表明みたいな」



何の決意表明だろうか?

考えてすぐに、嬉々として店の仕事をするアルの事を思い出した。



「だ、ダメです!騎士を辞めるなんて!」


「…フフ、大丈夫。そんなつもりじゃないよ」



エルザの勘違いを優しく制するアルは、更に笑みを深めた。



「さぁ、座って。ゆっくり話そう?俺の話から聞いてくれる?」



アルに促されて、エルザは元の所に腰を下ろす。

そのすぐ隣に、アルがさっと腰掛けた。


あれ、近いぞ。

こういうときは、普通向かいに座るんじゃなかった??


微かな動揺を見せるエルザに、アルはしっかりと目線を向ける。



「あのね、俺は、エルザの事大好きだよ」



好き、という言葉の破壊力といったら、恐ろしい。

エルザは『私も大好き!』という言葉を必死に押さえつける。

言いたいと思いながらも、なかなか思い切れないのだ。



「そばで支えてくれた人に好意を持つのって、変かな?」



困ったように微笑むアルは、エルザの顔を覗き込む。

エルザに向けられた気持ちが溢れて、とても照れくさい。

しかし、これはしっかり聞かなくてはならない。



「エルザは俺の気持ちを考えて、寄り添ってくれた。それが、すごく嬉しかった」


「……そんなことは…」


「そのうちに、無用心な君の事が心配になってきて、『俺が守りたい』って思うようになった。その頃からかな、ずっと一緒に居たいと思ってたよ」


「うん……。アルさん、私、すごく恥ずかしい」



アルの気持ちが真っ直ぐ過ぎて、非常事態だ。


エルザは、もうそろそろ爆発しそうな赤い顔を両手で覆うが、アルがその手首をそっと掴んで、顔を隠すのを阻んだ。



「ちなみに…そうやって照れるエルザは、…すんごくかわいいと思ってる」


「……かっ」



ウットリとしたアルの瞳に、熱が込められている。

どうやらこれが『口説かれる』という事なのか。


はじめての出来事に叫びそうになるのをこらえ、エルザは涙目で、アルの顔を見るしかなかった。








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