8.お互い戦々恐々?本音ガチバトル?
明治政府はそうそうたる御仁です。シェルター側は活路が見いだせるのか。
8.お互い戦々恐々?本音ガチバトル?
1874年2月9日14時00分、霞ケ浦国際ゴルフコース。丹下が設計したモダンで和も取り入れた建物で明治政府一行と常陸の国我々の首脳会談が行われた。もちろん非公開秘密会議。我々は、内閣総理大臣、内閣官房長官、国防大臣、外務大臣、国家安全保障局長、FIMA長官と局長の私、何故か緊急事態管理研究所の近藤と風間1佐がいた。9対9だ。
「長旅でお疲れでございました。体調に問題はありませんか。お互いに実りある会議にしたいと存じます。」
総理が話始めた。
「労い恐れ入ります。泡風呂に入れて、気力充実です。要求項目の返答を誠心誠意を込めてまとめ持って参りました。よろしくお願いします。こちらが返書元本でございます。水戸県消失は自然災害で処理しています。」
三条実美輔相が応じた。うそこけ、半ば、本気で攻めてきたくせに、内心毒付いた。
各々の前には返書のコピー、国書のコピー、それらをまとめたA3判の対応表が置かれ、前には対応表が大型モニターが映し出されていた。
「まずは要求事項と返答内容の解釈に齟齬がないか確認しましょう。不明な点、詳しく知りたいことはありましたか。」
「まず第一に重要な確認点は、そなたら常陸の民は天皇の臣下であるのかという点であるのだがのう。」
「明治から続く天皇家を頂きにしている点で、臣下と考えている。」
わぁ~。問題発言だ。絶対国が割れる議論なのに、言い切ってしまったよ。
「では、何で連合で対等なのだ。臣下として対等という意味か。今上天皇と対等な天皇が常陸におらっしゃるのか。」
「対等な今上天皇の子孫にあたる天皇は常陸にもいる。」
わぁ~。ウソ発言だ。大丈夫か。
「明治政府は強力な中央集権を試行しておじゃりまする。矛盾が生じると考えておるのじゃが。」
「イギリスは連合王国で王はスコットランドやイングランド、アイスランドにいるが、強力な中央政権を築いている。やり方の問題だ。」
「天皇が2人おわすというのは、南北朝しかり、分裂状態と考えておじゃるが、間違った考え方とは言い難いと思うがのう。」
「確かに、分かれている。譲歩しよう。我々の天皇にはご先祖に敬を示し退位を願う。が!。今上天皇は常陸の天皇の意思を重んじ、我々に当別なご配慮を賜ること。意志は明文化する。これ以上は引けない。これで、1人の天皇。平等な臣下だが特別な臣下だ。明治常陸連合政府だ。どうだ。」
「そこまでのご覚悟。肝に銘じましてござりまする。第2に、明治政府では軍組織の供出、常陸の国では軍の一体統合と食い違う件でございまするが。常陸の軍を解体して我々が吸収するとの明治政府方針でございましてのう。もちろん安全は保障した上での話になりまするが。」
「まず、明治政府では高度な常陸の軍を運用することができない。よって、解体吸収は不可能だ。」
「そうはいっても、現実問題、明治政府側にとっては脅威でござりまする。政策を強引に決められかねません。」
「では、こういうのはどうだ。常陸は明治政府軍を育成し、やがて常陸と同レベルに育てる。常陸の軍は現状を維持し、国難に活用する。双方に荷があると思うが。」
「なるほどのう。如何ほどで同レベルになるかのう。」
「明治政府の資源投入次第であるが、50年。」
「次の世代になってしまうではないか。」
「180年先の力です。これでも大安売りでしょう。大切な視点が抜けています。同レベルではなくともけん制できるレベルには10年でできます。常陸も、損害は嫌ですから。」
「自分で自分の首を絞めるようなことを、本気でされるとおっしゃられてものう。担保はございますのか。」
「担保は資源です。資源がなければ弾は打ち尽くし、車も船も動けなくなります。明治政府は資源という切り札を常陸は軍事力という切り札を持つことになります。それぞれ、相手の首を絞めることになるので、利益相反、持ちつ持たれつの関係にすることができます。」
「なるほどのう。それで手始めにオハでござるか。軍管理の今の提案は了承いたし申した。第3の保留回答した外交方針も合わせて了承いたし申す。」
「ありがとうございます、合同文書に本件を追加します。」
前面のパネルに表示されていた表の不同意の赤網掛けが薄緑になる。オールグリーンだ。
わぁ~。一発合意かよ。展開はえ~。明治政府相当焦っているな。実は我々の方が焦っているのに。よかったよかった。さすが鬼塚総理。
「もめごとや重要事項の協議は、今上天皇、退位した上皇、明治政府と常陸政府同人数の紛争処理委員会とすることでよいかな。」
「さようで、よいかと。」
「では、内政、外交、軍事、産業の分科会を申の刻半、16時から別室で行います。それまでご随意にご休憩ください。皆様方にお茶を。」
私は皆にアナンスした。紙コップコーヒーを持って、風間1佐に近づいた。
「風間1佐、コーヒーをどうぞ。警備ご苦労様です。」
「ありがとうございます。いただきます。」
・・・。間が開くなぁ。無口な人なんだろうか。
「バスの中では、場を沈めて下さり、ありがとうございます。」
「南田指令、護衛の任務を果たしたまでのことです。礼には及びません。」
・・・。間が開くなぁ。無口な人なんだろうか。
「あなたの目はすごく真直ぐだったわ。何を見ているのかしら。と思ったわ。」
・・・。間が開くなぁ。無口な人なんだろうか。
「核兵器のない世界を見ています。私にとってそれ以外は些細なこと。」
些細・・・。誰か失ったのだろうか。悲しそうな表情。ま、また、胸が痛い・・・。動悸が。。
「南田指令?」・・・「大丈夫ですか。」・・・「お疲れ何では。」
・・・ふぅ。戻った。意識が戻った。何か言われている。
「ぇ、ぇえ~。大丈夫ですわ。私も同じよ。これからもよろしくね。」
にこっと笑って、やっと返した。あら、風間1佐がず~と私を見ている。
「しのぶ。南田指令ではなく、しのぶと呼んで下さい。」
「は!しのぶ司令。」
「っプ!まだ司令がつくのね。今度、いろいろ相談に乗ってくださいね。よろしくお願いします。」
スマホを出して。プライベートラインを送ってしまった。送ってしまった。きゃ!私なんで、積極的!
「風間1佐。場内異常ありません。」
嵐山1尉が、報告に来た。私はいそいそと退散した。
「みなみださんですね。かわいいですね。」
振り返って絵がをを振りまく私。
「なんで。南田忍指令殿だ。粗相するなよ。」
「ぇえ!あれで指令ですか!あんな若くてきれいな人がFIMAの。驚いたな。」
「気苦労も多そうだ。支えてやれ。」
もう一度振り返って絵がをを振りまく私。余計なことをいう、と思いながら。
なんか、恋愛要素も入ってきていますが。緊迫した場でいいのでしょうか。