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プロローグ 運命
運命。
その言葉を心の底から実感した経験が宗次郎には二度ある。
二度目はなくした記憶を取り戻したとき。
燈と再会し、天斬剣の強奪に巻き込まれ、天斬剣の封印が解けたことで記憶を取り戻した。
大きくなったら君の剣になる。
幼いころ燈と交わした約束を思い出した宗次郎は、彼女との再会にこう感じた。
これを運命といわずに何と言おう、と。
では、一度目は何か。
それは宗次郎の夢にかかわってくる。
今より千年前。
その力で妖を生み出し、大陸の半分を支配せしめた忌まわしき厄災、天修羅。
天より飛来した魔神を打倒したのはのちに皇王国を建国する初代国王、皇大地。
そして、皇大地の“剣”と呼ばれた一人の剣士だった。
その神速の動きは何者も捉えることができず、その斬撃はあらゆるものを両断したと伝えられる。
千年たった今でも最強の波動師と歌われる英雄に、宗次郎はあこがれた。
いつか自分も英雄と呼ばれるようになりたい。そう強く想った。
これから始まるのは、宗次郎が最初に運命を実感したときの話。
宗次郎が親友と出会ったときの、お話。




