歓迎 その1
着替え終わった宗次郎が部屋を出ると、廊下で燈と森山が話し合っていた。
「おはよう、宗次郎」
「おはようございます、宗次郎様」
「二人ともおはよう」
窓際にたたずむ燈。朝日を受けて銀髪がまぶしく輝いている。
「寝坊するかと思ったわ」
「さすがにしないよ」
三人そろって階段を降りると、舞友が待機していた。
「おはようございます。こちらに来てください」
制服を着た舞友は宗次郎に目もくれず、回れ右をする。
一回の右側の廊下を進むと、執務室と書かれたプレートが見えてきた。
「会長、お客様をお連れし巻いた」
「ああ、入ってきてくれ」
扉の向こうから陽気な声がして、舞友が扉を開けた。
すると、
「ようこそ、三塔学院へ!」
パンパン、と派手な破裂音がして紙吹雪が舞った。
訳が分からずポカンとする宗次郎、燈、森山、舞友の四人。
そんな彼らの前に立っているのは、にっこりと笑って白い前歯をのぞかせた男だった。
身長は宗次郎や玄静より頭一つ高く、すらりとした体つきをしている。金色の髪は癖があり、青い瞳と合わせてモデルのようだ。
両隣にいる女子生徒と男子生徒たちが破裂音に驚き、口をあんぐりと開けているせいで、余計に浮いて見える。
「明……」
男の左隣にいる男子生徒が頭を抱えている。ガタイがよく、黒髪を短くまとめてサッパリとした青年だった。
「部屋の中で爆発物をつかうな」
「爆発物じゃない。これはくらっかーといって、異国では祝福をするときに使うらしい。いいだろう? 派手でさ! 時期が時期だし、歓迎会がない代わりさ」
手には空になった二つの筒を握っており、それが先ほどの破裂音と関係あるらしい。
「びっくりしました……」
小柄な女の子が口に手を当ててため息を漏らしている。黒い髪をツインテールにしていて黒目の大きい、可愛らしい女の子だ。
「そうだろう、そうだろう?」
「憙嗣さんのいう通りです会長。せめてやる前に一声かけてください。第二王女殿下の御前ですよ」
「それだと驚いてもらえないじゃないか、里菜」
右隣にいるメガネをかけた女子生徒の言葉も気にかけず、金髪の生徒は胸を張った。
「改めて! ようこそ三塔学院へ! 歓迎するよ、諸君!」
明るい雰囲気もあり太陽を思わせる華やかな笑顔で、金髪の男子生徒は告げた。