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第1章7話 [召喚(中編)]

「え?ってことはレアリティ8ってことは強いってことか?」

「まあね!」


 えっへんと胸を張る。気になっていたんだがエリーの服の布の面積少ないんだよな。ビキニとスカートだけって…よく見れば意外に胸もあるし少年とかもゲームするんだから服とか気にした方が良いんじゃないだろうか。


「それでね、私の特殊能力。このゲームではアビリティとスキルって言うんだけど。ちなみにアビリティは基本はレアリティ5以上の召喚獣にしかないんだけど。私のアビリティは飛行と翻訳の2個もあるんだよ!凄くない?!」

「……」

「どうしたの?」

「妖精って飛ぶイメージあるんだよな…戦闘の時はエリーは何をしてくれるんだ?」

「え〜…っと後ろで敵の名前とか弱点教えたり、ポンポン持って応援したりとか」


 後半は戦闘と全く関係ないが初心者の俺的には未知のモンスターや知らない物を教えてもらえるのは有難いな。それに召喚は残り2回あるし、エリーは喋る図鑑とかマスコットキャラか何かと思えば…よし、そう思おう!


「よろしくな!これからの冒険一緒に頑張ろう!エリー!」


 そう言いエリーに右手を差し伸べる。意図を察してくれたエリーが俺の人差し指を右手でギュッと握る。


「こっちこそよろしくね、マリー!なんだか私と名前も似ているし上手くいきそうな気がするね!」

「ああ、そうだな!」


 手を離し、そろそろ2回目の召喚でもしようかなっと考えていると


「ねぇねぇ?どうしてマリーは女の子なのに自分のことを『俺』って言うの?ただの俺っ子?」

「……」


 俺の記憶喪失の話とかマリアの話をしようか悩む。今後ずっと一緒にいるだろうし…隠しごとはしていたくない。


「重大な話を何個か言うんだけど、エリーは口固いか?」

「え?固い方だと思うけど。マリーが他の人に言われたくない事を言いふらしたりしないよ。絶対に」


 先ほどの小芝居をしていた顔とは打って変わって真剣で真っ直ぐな瞳で答える。俺はマリーを信じて、【Ner Equip Adventure World】をする経緯と『覚醒スキル』『妖精女王の加護』『EX(エクストラ)スキル』について全て話した。


「ウソ……」


 話し終えるとエリーは目を見開き固まる。やっぱり記憶喪失の話はダメだったか?それに美少女が実は中身が男っていうのもショックだったのかもしれない。


「お、お〜い、エリー?大丈夫か?」

「え!?あ、うん!大丈夫!なるほど…凄い事を沢山聞いちゃったよ。言いたい事は沢山あるけど、このゲームをそんな理由でプレイしてるのマリーだけだよ」


 やっぱりちょっと引いてんじゃないか。本当に話して良かったのかな?と少し後悔している。


「まず、俺って言う女の子は少ないから気にしなくも良いと思うけど…私的な解決策を言って良い?」

「解決策も何もないだろ。『俺』を『私』に変えるしかないだろ」

「名前のところのマリーって名前の後ろに『オレ』って入れたら『マリー・オレ』良くない?この名前にしたら自分の名前を言ってるんだなって思われるよ」


 カフェオレみたいで微妙にダサいな。


「ちょっとダサくないか?マリー・オレって」

「そうかな?凄く名案だと思ったのに。でも急に『私』に変えれないでしょ?それにゲーム中は『私』でリアルを『俺』に分けたりするの面倒くさくない?試しで良いからやってみようよ」


 嫌になったら元に戻せばいいし…冒険に影響する事でもないし良いか。


「分かったよ」


 メニューを開き、名前のところを押すが何も起きない。あれ?こうじゃないのか?


「ステータスを開いて、自分の名前を押したら文字を追加できるよ」


 いつの間にか俺の顔の真横でステータスを見ながら教えてくれた。召喚獣も俺のステータス見れるんだな。

 ステータスを開いて名前のところを押すとキーボードが現れて文字が打てるようになった。


「オ…レと…」


 文字を打って名前を変更し終える。これで今後は人前でも自分のことは俺って言えるな。


「さてと…残り2回の召喚をするか」

「え?もしかして、マリーの初めてって私だったの?」

「ああ、そうだけど…」

「なんだか嬉しいな〜、そっか〜私が初めてか〜」


 エリーは嬉しそうに俺の周りを飛び回る。気にせずメニューを開きエリーを召喚した時と同じ事をしようとすると、いつ間にか俺の顔の横で見ていたエリーが止める。


「召喚をするのにメニュー画面を開いてする必要ないよ。使いたいスキルやアビリティがあれば強く念じれば使えるから」

「え?そうなのか?」


 言われてみれば戦闘中にメニュー画面開いて戦う奴はいないよな。


「ほらほら、やってみて!使いたいスキルやアビリティを頭の中にイメージして強く念じて…自分なら使えるって信じながらね」

「召喚…召喚…」


 両腕を前に出し頭の中で召喚することを念じる。


「『召喚!』


 両手を前に突き出すと目の前の床に魔法陣が描かれる。


「よし!成功だ!来い!俺の新たな召喚獣!」


 光が強くなっていきボフン!と白い煙が上がる。

 煙が消えていくと魔法陣が消えて、魔法陣があった場所に普通のサイズより3倍ほど大きな真っ白な毛色のウサギがいた。


「俺の召喚のスキルだけ可愛い限定とかの制限か何かあるのかな?」

「可愛いって私のこと?マリーってば遠回しに褒めてくれたの?」


 横でヘラヘラして飛び回っているエリーを無視して召喚したウサギを眺める。


「おっきいな!すっごいモフモフしてる…ちょっと撫でてみよう。引っ掻いてこないかな?」


 長々と独り言を呟きながら恐る恐る大きなウサギを撫でる。


「フワッフワのモッフモフだ…。顔を埋めたい…頬ずりしたい…」

「そんなになの?私も後で触ろうかな」


 これはもうやるしかない、俺は多少引っ掻かれるのを覚悟してウサギの体に顔を埋める。


「……俺はもう冒険はしない…ここでずっと顔を埋めていたい」

「ちょっと!さっき冒険頑張ろうって握手したばっかじゃん!」

「何だこのモコモコのモフモフ!暖かいし最高過ぎる!」


 煩悩になんとか自制心が勝ち、体を離して改めて大きなウサギを観察する。


「このウサギはどういうことができるんだ?」

「この子はスピードラビットの幼体だね」

「スピードラビットってなんだ?」

「こういう時は召喚した召喚獣のステータスを念じたら見れるよ」


 念じて操作するのはこのゲームをやる上で必要不可欠なんだな。

 ウサギを見ながらステータスを見たいと念じるとステータスが目の前に現れる。


 ・スピードラビット(幼体)Lv 1 /5 〈R1〉

  『No name』 信頼度 4

 HP/100 STR/10 VIT/10 AGI/10

『スピードラビットの幼体。進化するとスピードラビットに進化する。回復薬やダメージを受けずに進化させると特殊なスピードラビットに進化することがある』

【アビリティ/ ーー 】


 なるほど。めちゃくちゃ弱いってことは何となく分かった。進化するまでは何とも言えないんだけどな。


「信頼度ってのとR1ってのは何だ?」

「信頼度はマリーへの懐き具合だね。R1は『R=レアリティ』だからレアリティ1ってこと」


 なるほど。そう考えると、信頼度が少し高いな。レアリティ1は納得だけど。


「ねぇ、名前つけてあげれば?」

「名前?」


 言われてみればスピードラビットの名前のところが『No name』になっている。


「名前か…。ウサギ。スピード。ラビット。召喚獣。ケモノ」

「肉。人参。ジャガイモ。玉ねぎ」


 頭に浮かんだ単語を適当に口にする。エリーが言っているのはカレーの材料だな。いや、肉じゃがかも…って違う!名前だよ!邪魔が入ったが名前を脳内で纏まる。


「よし!決まった!今後は俺の槍になってもらうって意味で『スピカ』にしよう!」

「スピアじゃなくて?」

「スピカだ。一文字変えたほうがオシャレだろで良いだろ」


 こうして2体目の召喚獣の召喚を済ませる。『スピカ』という名前に喜んでいるのか。スピカも「キュキュー」と鳴いている。ウサギの鳴き声ってこんなのかな?

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