聖女ちゃんひらがなを書く。
注:今回の文章は一部、縦書き及び音声読み上げに対応しておりません。ご了承下さい。
ツェツィリーちゃんは『きょーすけ』と『つぇつぃりー』の文字を何度も書いていく。
「できた」
何度か書いて満足いくものができたのだろうか。
ツェツィリーちゃんが書いたそれをこちらに見せる。
『_キよーすⅠ+』
『⊃え⊃‥リー』
………………ふっ。
俺が幼稚園だか小学1年だかの頃の日記を母親が取っておいた気持ちが分かるね!
「いいね、読めるよ。上手い上手い」
ツェツィリーちゃんはぷうとほほを膨らませて言った。
「……うまいと おもってない」
ああ、嘘はわかるのだっけか。
「はじめてにしては上手い。あと可愛い」
俺の脇腹を指でぷすぷすとつついてくる。なんだよ。
「れんしゅうして ちゃんと かけるよう する」
「うん、頑張れ。他の文字もね」
「きょーすけ おと もっかい いって」
「ん?ああいいよ。あーいーうーえーおー……」
「あーいーうーえーおー……」
とまあ、こんな感じでひらがなを教えて行ったのだった。
「ひらがな なんとなく よめる きがする」
まあ、元々会話は出来てるからね。
あー、絵本でも借りてくるか。
「ツェツィリー、赤ちゃん向けのだけど、絵とひらがなの本あれば読みたい?」
「あかちゃんむけの ほん! そんなものが!」
……そりゃ羊皮紙で手書きの時代にそんな本はないよな。
「図書館という、本を貸してくれるところがあるんだ」
「ほんを かすなんて しんじられない それは すごい おかね かかる?」
なんとタダなんだよなー。俺は首を横に振った。
「行ってみようか?」
「うん!」