聖女ちゃんのやりたいこと。
なるほどね。聖女としての生活、勇者パーティーとしての生活。趣味に割く時間なんてなかったのかなあ。
「まあ、趣味がないからと言ってつまらない女じゃあない。ツェツィリーはおもしれー女ですよ。魅力的」
「そ そう?」
「それは顔だけじゃ無くて内面も。ここに来てくれて楽しいし嬉しいよ」
ツェツィリーちゃんは顔を赤くして俯き、俺の腕に頭をぐりぐりと押し付けてきた。なんだよ。
頭をぽんぽんと叩く。
「でも、やりたいことはあった方がいい。それは仕事でもいいし、趣味でもいい。
俺がいない間、ツェツィリーがひとりぼっちでここでぼーっと座っているだけというのは俺にとっても辛い」
「……うん」
「じゃあなにかやってみたいことはある?ゆっくり考えていいよ」
ツェツィリーちゃんは俺に頭を押し付けたまましばらく固まる。
「いつか しごと したい」
「うん」
「きょーすけ ゆうわくしたい」
「んっ……うん」
「このせかい しりたい りょーり うまくなりたい もじよめるよう なりたい」
「うんうん。やりたいこと、たくさん出てくるじゃん」
ツェツィリーちゃんは頷き、手を上げた。
「しんせいご よみかき まなびたい」
「いいよ、勉強していこうか。今ちょっとやってさ。それを夜に復習していくと良いんじゃない?」
ツェツィリーちゃんが抱き着いてくる。
「はーい きょーすけ せんせい」
抱き着きながら先生言うのやめろー!せ、青少年育成条例!