聖女ちゃんと洗濯ばさみ。
とりあえずツェツィリーちゃんの顔をティッシュで拭ってやる。
「ふぇぇ…… ありがと きょーすけ」
「うん、中身入ってる紙パックは潰さないように」
身体や服には垂れてないかな。ちょっと机に垂れたのもふいて告げる。
「顔洗っておいでー」
「はーい」
とまあ、そんなこんなしつつ洗濯機が止まる。
天気は良いし、干してから出かけるかー。
湿った洋服を二人で袋から取り出して窓へ。四角い洗濯用ハンガーを手にする。
「きょーすけ それ なあに?」
「洗濯物を吊すやつ。ハンガーっていう」
「はんがー」
かごからひとつ服を取り出して……これツェツィリーちゃんの下着だ。
これは別のにかけよう。Tシャツを1枚取り出して洗濯ばさみに挟む。
「こうやって干す。やってみて」
「うん」
別のシャツを1枚渡して場所を替わる。
ツェツィリーちゃんは洗濯ばさみを手にして……。
「なにこれ!」
「……洗濯ばさみだけど」
「わたし しるの ちがう! みょんみょんする!」
……洗濯ばさみそのものは異世界にあっても、ばね仕掛けで自動的に挟むものはないか。なるほど。
ツェツィリーちゃんは両手に洗濯ばさみを持ち、かちかちと開け閉めしている。
「あはは みょんみょんする」
ご機嫌そうだ。
確かに子供の頃って洗濯ばさみ使って遊んでるよね。わかる。
だが洗濯物が干していってほしいがー。
……ご機嫌なツェツィリーちゃんを見ているとまあいいかという気分になるのだった。