聖女ちゃんときのこ。
ツェツィリーちゃんの手付きを見て、とりあえず包丁使いは普通にできるだろう。
俺よりスライスの幅が揃ってるわ。
「はい」
彼女からにんにくを受け取ってフライパンに。弱火をつける。
「今日は俺の得意料理。って言っても割と作るの久し振りなんですが。きのこのスープスパゲティを作ります。
きのこ大丈夫ですか?」
「どくが ないのは すきです」
この返しは酷い。
「当然毒はありません」
「よかったです」
きのこを並べます。
「用意するのは、しいたけ、エリンギ、しめじ、エノキです」
「えりんぎ……」
ツェツィリーちゃんはエリンギをパックから取り出し、目の高さに持ち上げてしげしげと眺めた。
左手で石突きをそっと包むように持ち、右手は3本の指で軸を摘まんでいる。
「おっきい…… ふとくて かたい……」
ぐふっ。
「旅してたらこのくらいのきのこは見るでしょう?」
「このおおきさの だいたい どくある
まかいは きのこ さわると ただれる」
ヤベぇな魔界。
「そうかー。とりあえず傘のあたりを洗って、しいたけ、エリンギを切って……」
しいたけ、エリンギ、しめじをフライパンに投入、唐辛子と塩胡椒、アンチョビ入れよう。
「ツェツィリーにはサラダ作ってもらおうかな」
「はい きのうの あかいの」
トマトを切り、レタスなども千切っていってもらう。
別の鍋が沸騰したので、塩入れて乾燥スパゲティを投入。そこまで鍋が大きくないのでツェツィリーちゃんに箸で麺がくっつかないように混ぜて貰う。
フライパンには水を400ccかな。固形ブイヨン解し入れて醤油をひと回し、えのきと乾燥バジルを投下。
軽く灰汁をとり味見…………。悪くない。お気に入りのマリーシャープスのハバネロソースを二振り、麺の茹で汁をスープに足す。
「あ、ツェツィリーそこの大葉切って。丸めて刻む、うん」
ピピピピピ。
ツェツィリーちゃんが驚く。
うん、キッチンタイマーが茹で時間の終了を告げた。
「完成の合図だよ」
「できた!」