聖女ちゃん解放される。
うん。ツェツィリーちゃんだね。
「おはよう、ツェツィリー…………」
ぐぅ。
ゆさゆさゆさゆさ。
「あの! きょーすけ」
ん。抱きかかえている布団をホールドし直す。
「ひゃう! ではなく」
ゆさゆさ。
「んー……?」
「ご ごふじょうを おかりしたいのです!」
「どーぞー……」
「どーぞじゃなく いかせてっ……」
んー……?
ゆっくりと意識が覚醒してくる。
俺の胃のあたりにとても柔らかく弾力のあるものが当たっている。
俺の左手は柔らかい髪に差し込まれて頭を俺の胸元に抱きかかえている。
俺の右手はそれなりの重量のものの下敷きになっている。動かすとなにやら丸く曲線を帯びた柔らかい物体にぶつかる。
俺の脚は別の脚と完全に絡み合った状態である。左脚は大きく上から脚全体をロックしている。
俺の股間は柔らかいお腹に押し当てられている。
…………うん。事案ですね。
いや待って下さい裁判長。そもそもツェツィリーちゃんが一緒に寝るように強要したのであり、わたしのせいでは!
……誰だ裁判長。
俺はごろりと逆に寝返りを打ち、仰向けとなって首だけ右に倒して彼女を見た。
ツェツィリーちゃんは顔を赤らめたまま俯き、見上げて俺と視線を合わせる。
「おはよう、ツェツィリー。ひょっとしてもっと早く起きたのに動けなかった?」
「うーん ちょっと」
「すまない。ご不浄どうぞー」
「ありがと きょーすけ」
ツェツィリーちゃんは立ち上がり、ぺたぺたと部屋を出て行った。
「ぬぁー……」
ツェツィリーちゃんの下敷きになり、血が止まっていたであろう右腕に血が流れだす。
やべー、超痺れてきた。
左手で手を伸ばし枕元の時計を見る。
……5時か。……俺の眠れていた時間は短いような気もするが、横になっていた時間は……ふぁ。
……んー。起きるか。