聖女ちゃんの出汁。
「ふぃー」
浴槽に入り、お湯につかる。風呂に入るとなぜ声が出るのだろうか。
風呂に入ってる時の癖、湯船のお湯を顔にかけてごしごしと顔を洗ったところでふと思う。
……ところでこちら。このお湯は先ほどツェツィリーちゃんがつかったものにお湯を足したものです。
…………ツェツィリーちゃんの出汁が!聖女汁!
いやいやいやいや。ふと脳裏にひらめく文字。
効能:疲労回復(主に下半身)
やめて。
俺は湯船を堪能し、その効能が確かであったことを知り、改めて賢者となる儀式を済ませてから風呂を出た。
身体を拭き、服を着る。
トランクスと胸元に『秋葉原』の文字のTシャツ、今日買ってきた寝間着のズボン。
さすがにトランクス1枚はね!事故る未来しか見えないので。
キッチンからそっと部屋を覗く。
すぅ…………すぅ…………。
規則正しい寝息が聞こえる。
俺は静かに部屋へと入り、ジーンズを丸めて床に置く。
寝袋は奪われてしまったが、まー1日くらいそのまま床でも良かろうよ。
キッチン側の電気を消し、暗くなった部屋で、声に出さないよう呟く。
(おやすみ、ツェツィリー)
そして床に座った瞬間だった。
突然、しゃっと衣ずれの音がしたかと思うと、腋の下がクラッチされ、上半身がベッド側へと投げ出される。
「ひぇっ!?」
俺は思わず悲鳴を上げた。