聖女ちゃん名乗る。
彼女が手を胸に当てる。
「わたし ツェツィリー いいます」
……はっ、胸の変形を見ろでは無い。自己紹介だね!
「セシリー?」
「ツェツィリー」
「ツェチリー?」
「ツェツィリー」
「ツェツィリー?」
細かい発音の違いが気になるのか、僅かに首を傾げるがゆっくり頷く。
「はい ツェツィリー です。 きゅうせいのせいじょ の ふたつなを いただいて おります」
……急逝の性女。違う。死んでない。救世の聖女か。わーい、マジでファンタジーだなこれ!
聖女であるらしいツェツィリーちゃんが手をこちらに差し出す。名乗れということだろう。
えーと、ツェツィリーとだけ言われたけど苗字はないの、かな?
「わたしは京介、です」
「きょっけ?」
「きょうすけ」
「きょしゅけ?」
かわいい!でも違う。
「きょうすけ」
「きょーすけ?」
うむ、と頷く。
美少女さんに名前を呼んでもらえるの幸せだなぁ。
…………くーー。
ツェツィリーちゃんのお腹のあたりからかわいい音が響く。
彼女が顔を俯かせる。
「はは、食べ物用意するね」
「……まって」
俺が部屋を出ようとすると、彼女は俯いたまま、ぼそりと呟く。
「あ あの…………。 ごふじょう おかりして よろしいでしょうか?」
ごふじょう……ご不浄……トイレか!
やべぇ掃除してたかな。
「ちょ、ちょっとだけ待ってね!」