聖女ちゃん歯を磨く。
食後。
洗面所で買ったばかりのピンクの歯ブラシをツェツィリーちゃんに渡す。
「はぶらしに はみがきこ つける」
ツェツィリーちゃんが慎重な手つきでチューブから歯磨き粉を出して歯ブラシの毛先につけた。
「うん、それで歯を磨く」
しゃこしゃこしゃこしゃこ。
ちなみに歯ブラシは彼女の世界には無かったそうだ。それ用の木片を使っていたとか。
楊枝とブラシの間みたいなものかな?
旅の間はそんな暇も無く、浄化の魔法をかけていたとか。
「ふほい ほへ ひほひひい」
しゃこしゃこしゃこしゃこ。
「ひょっほ ははい んふー へほ ひほひひい」
うむ。かわいい。
「何言ってるか分からないよ。洗い物とかしてるね」
「ふぁひ」
口の端から白い液体を垂らして話される。ん、うん。
さて。洗い物はそんなに無いのだ。ちゃちゃっと洗ってと。
ベッドの布団整えて、あとは寝袋を出しておくか。収納の奥から引っ張りだして床においておく。
さっき行った『マルカワ』の袋から寝間着のズボンと……ナマコTシャツを取り出して、タグを外してベッドの上に。
ツェツィリーちゃんが着ていた俺のジャンパーは……ハンガー掛けておくか。
よし。
洗面台からツェツィリーちゃんがこちらへ。にこりと白く輝く歯を見せるように微笑む。
「は みがいた」
「うん、じゃー俺も歯を磨いちゃうから、その間に着替えておいて。
着替え終えたら声かけてね」
「はーい」