聖女ちゃんおにぎりあつい。
俺は風呂を沸かし直しておく。
冷凍焼きおにぎりをレンジであたため、コンソメスープを用意し、あとはポテトサラダでも置いとけば良いか。
簡素な夕飯である。
実のところ俺1人だと夕飯がもっと遅いんだよな。俺にとってはまだ夕飯って時間でも無いんだが。
ツェツィリーちゃんがおにぎりを見てつぶやく。
「おこめ」
「知ってる?」
「うん でも さんかく はじめて なぜ?」
「手で持ちやすいようにかな」
ツェツィリーちゃんはおもむろにおにぎりに手を伸ばして手で持つと、慌てて皿に戻す。
「あちゅい」
ぷるぷると手を振りながらこちらを睨みつけた。
「ごめん」
そりゃレンジから出したばかりの焼きおにぎりは熱いわな。説明不足だった。
食べながら話す。
「俺は食べ終わったら風呂に入るけど、ツェツィリーちゃんはどうする?」
「おふろ?」
俺は頷く。
「きょーすけ いっしょに はいる?」
「入りません!」
ツェツィリーちゃんはぷうと軽く頰を膨らませると、笑いながら言う。
「おふろ ひる いただきました だいじょぶです」
「そう。じゃあ、歯を磨いて着替えて先に寝ててよ。
俺は洗い物したりちょっと時間かかる」
「てつだう」
「んー、明日からで良いよ。良く考えたら魔神倒したばかりなんだしさ。まだ疲れてるだろ?」
「……ごこうじょう かんしゃします」
ツェツィリーちゃんはぺこりと頭を下げた。
「よし、じゃあごちそうさま」
「ごちそさまでした」
ちなみに『いただきます』『ごちそうさま』は今日出かける前に教えていたのである。
ただ、彼女はその後にお祈りの言葉を加えている。外では目立たないようにするため言わないように頼んだが、家では好きにさせておこうと思っている。
俺は彼女の祈りが終わるのを待って立ち上がった。