聖女ちゃんとあいさつ。
彼女は首回りを拭き、タオルに血がついたのを見て悲しげな表情をする。
そして深々と頭を下げた。
「*******」
言葉は通じずともお辞儀は万国共通なのかと思いつつこちらも頭を下げる。
手を出してタオルを回収して洗濯籠に入れておく。
「****」
彼女は言う。
「んー、あいどんとあんだすたんど……」
彼女は首を傾げる。そんな仕草も絵になるな!
「ぐっもーにんぐ、ぼんじゅーる、ぐーてんたーく、ぼんじょるの、にーはお」
彼女は首を振る。
うーん、外国語の挨拶なんてこれくらいしか分からんぞ。いや、でもヨーロッパ系の顔立ちでここまで言葉わからないってことないよなぁ?
耳が聞こえてない訳ではないし……。
彼女の血にまみれた法衣を見る。キリスト教のシスターに似ているが異なるデザイン、そして武装。
マジにファンタジー世界からやってきたとでも言いたいのか。
……くそっ『テッテレー!』とかまだ来ないのか。
「……困ったな」
俺が呟くと、彼女の表情が驚愕に変わる。
桜色の唇があわわと動く。
「その ことば ちょっと わかります」
「ご都合主義ィィ!」
「はやい ききとれない ごめんなさい」
俺は頭をぐぁーと搔いてから彼女に向き直ると、顔を見てゆっくりと言った。
「こんにちは、はじめまして」
彼女がぱあっと花開くように笑む。
「ありがと ございます。 はじめまして」