聖女ちゃん白いのをかけられる。
2人で半分くらいかき氷を食べたところで俺は言う。
「ツェツィリー、実はこのかき氷、まだ美味しくなるんだ」
「!?……?……!!」
ツェツィリーちゃんが表情をくるくる変える。
恐らく、『これ以上!?そんなはずは?はっ、まさか!!』だな。うん、気付いたかな。彼女の視線が卓上の小さな器に吸い寄せられる。
そこには白い液体が入っている。そう……、練乳だ。
「しろいの……」
……!ん、うん。
「そう、これをかけると……」
「かけると……?」
「もっと甘くなる」
「!?」
リアクション顔芸聖女ちゃんである。
俺はかき氷の一部にだけ練乳を垂らす。
「しろいの どろっとしてる……」
ちなみに練乳という名前を伝えてないのは特に意味は無いが、わざとだ。
「ふふ、試してみると良いよ」
俺はスプーンで練乳を垂らした部分を掬い取る。紅に染まった氷の上に垂らされた白。
差し出したそれがツェツィリーちゃんの唇に吸い込まれていく。
ツェツィリーちゃんの目から一条の涙が溢れた。
「ああ かみよ……」
聖女ちゃん、祈りだしたよ。
「なんと つみぶかい あじ」
罪深い……。この甘さの罪深さ。うん、なんとなく気持ちは分かる。
俺はハンカチで彼女の頰を拭う。
「白いのやめとく?」
「…………いる」
凄絶な葛藤があったに違いない間である。こう、僅かばかりの嗜虐心がですね……。
「白いの、ちょっとにしておく?」
「しろいの いっぱい かけてっ……」