聖女ちゃんと商店街から撤退。
会計を済ませて店を出る。ツェツィリーちゃんの服は店内でタグを外して、そのまま着させて貰った。袋にはさっきまで着てた服と、追加の着替えや寝間着用のナマコTシャツなど。
支払いは二万ちょい。まあ妥当なとこか。
「きょーすけ ありがと」
……これが推しに貢ぐ気持ち!そうじゃない。
「うん、いいよー。ところで結構時間たったたけど、疲れてない?」
「うーん ちょっと?」
少し座りたいところだよねー。どこか喫茶店でも行こうかね。
………………うーん。道行く人にめっちゃ見られてますね。
昼下がりから夕方前になって、買い物の主婦や学校上がりの子供たちが出歩いていて人通りが増えていること。
そしてさっきまでと異なり、ツェツィリーちゃんがちゃんと女の子らしい服装になっていることか。スレンダー巨乳な外人さんがいるぞー!的な視線がこちらに向いてくる。
「きょーすけ どした?」
うん、ツェツィリーちゃんは動じないね。聖女だったってことは人からの視線にさらされる機会も多かったのかな?
俺の方が気になっているという。
「んー、どこいこうか考えてた。
ちょっと歩くけど、甘くて冷たいお菓子を出すところがあるんだけどどうかな?」
「あまくて つめたい! おいしい?」
俺が頷くと、ツェツィリーちゃんはにこりと笑う。
「いきたい!」
ツェツィリーちゃんが手を出す。俺は左手に持っていた袋を右手に持ち替え、彼女の手を握った。
うむ。ごめんな。ちょっと今日は商店街の中の喫茶店に入る勇気が無かったんだ。と心のなかで呟く。
東西に伸びるパルム商店街から北に折れ、住宅地の中へ。
人の視線が急に減ってほっとするのだった。