聖女ちゃんTシャツを気に入る。
「ブラトップはあるんですか?」
「ありますよ。試着されますか?」
ツェツィリーちゃんが頷く。
「ついでにシャツを何枚かお願いします。ジーンズは二階でしたっけ?予算的には……」
と店員さんに任せる。
ツェツィリーちゃんは店員さんと話しながら下着やシャツを選ぶ。選ぶのは自分だが、決定するのは俺であるらしく、1枚ずつ俺に見せに来るのである。
……その試着室でサイズが合うと確認していたブラトップ、脱ぎたてのそれを広げてわざわざ俺に見せるんじゃありません!
ともあれ俺が良いよと頷くと、にっこりと微笑んで足下に置いたカゴに服を入れていく。うむ。
店員さんも高い商品は持ってこない。まあこの店だとジーンズでLevi's持ってこられなければ、そこまで高くはならないはずなんだが。
「きょーすけ!これ!これほしい!」
ツェツィリーちゃんがぱたぱたと駆け寄る。
おお、テンション上がってるな。何だ?
持ってるのは白いTシャツに見えるが。
「これ!」
そう言って彼女が見せたTシャツには、白地に黒の線でデフォルメされた太いキュウリのようなイラスト。
太く丸っこい棒状の物が横たわり、その棒はちょっとトゲトゲしている。
そしてイラストの下の『ナマコ』の文字。
君の神様ナマコだって言ってましたねー……。
俺は店員さんに、『なんでこんなデザインのTシャツ置いてるんだよ!』という視線を向けるがスルーされる。
きらきらと瞳を輝かせてこちらを見るツェツィリーちゃん。
「…………外じゃ無くて、家で着るならいいよ」