聖女ちゃん洋服屋さんへ。
「うん じゃあく ちがう しんじる」
うん。これでツェツィリーちゃんが武蔵小山商店街パルムのマスコット、『パル』と『パム』の着ぐるみに唐突なバイオレンスを振るう未来は避けられたはず。
良かった良かった。
「んじゃ、服買おうか。って言っても、とりあえず安いのしか買ってやれないけどね」
「いえ ありがとです」
まあ、ちょっと繋ぎで買って、追加は今度だよな。
普通に出歩けるのをまず買わないと。さすがにぶかぶかでサイズが合ってなさ過ぎる。服を買いに行くための服が無い状態だ。
ジーンズショップ『マルカワ』へ。ジーンズがメインの店だが、とりあえず男性用女性用の服も扱っている。
「ふく いっぱい」
服が所狭しと並んでいて狭い店内で女性店員を探す。
「すいません、ちょっといいですか?」
「はーい」
「えっとですね、この子なんですけど」
ツェツィリーちゃんを隣に立たせる。
店員さんが驚いたような顔をした。
「この子留学生で、昨日うちにホームステイで来たんですけど」
「はーい、見たこともないキレイな子でビックリしました」
「飛行機で手荷物が別の便になってしまいまして」
「あら!それは大変ですね」
「着る服が2日くらい手元に無いんですよ。んで今俺のジャンパー、ジーンズにサンダルって感じなんですね」
店員さんの視線がツェツィリーちゃんの足元に行く。
「なんで何枚かサイズ合ったシャツとパンツと靴下、あと寝間着かなんか見繕って欲しいんですが」
「分かりました。えっと彼女は日本語話せます?それとも英語ならいけます?」
「日本語が少し、ゆっくりなら」
彼女はツェツィリーちゃんに声をかける。
「こんにちはー、よろしくね!」
「よろしく おねがいします」
「やだ、声までかわいい!」