聖女ちゃんいろいろ気になる。
商店街の入り口、手を繋いで歩く。
一歩前に出たがツェツィリーちゃんが動かない。
「どした?」
彼女の視線の先には『ベリテ』っていう宝石屋がある。
ああ、聖女といってもやはり宝飾品とか気になるのだろうか。と思ったら今度は道の逆側の店を見ている。
「きょーすけ いえでも おもった」
「うん」
「がらす おおきい とうめい まっすぐ すごい」
ああ、なるほどね。確かに『ベリテ』とかガラス大きいよね。ガラス張りの店舗とか無かったんだろうなあ。
「凄いのですよ。ま、歩きながら見よう」
「ん」
「宝石には興味はないの?」
「うーん きれい おもう
ても まほう こめる じつようひん」
異世界では宝石とは魔法を込める実用品なのかな?
だとすると逆に地球の宝石のカットとか見れば驚く気もするが……まあ欲しがられても困る。そんな金は無いのだ。
「付与魔術師?」
「きょーすけ よくしってる ふよまじゅちゅち」
ほっこり。
さて、ゆっくり歩く。だが、ツェツィリーちゃんはどうにも色々と気になるようで、きょろきょろしたり、足を止めたりと進まない。
手を繋いでいて本当に良かった。
まあ、問題は目立つことだな!
「む」
そんなツェツィリーちゃんが厳しい顔をして上を見上げた。
「あれは なに?」
彼女が指差すのは頭上、アーケードの天井付近に吊された巨大な看板。
武蔵小山商店街『パルム』のポイントカードの広告で、商店街のマスコットである2匹の洋服を着たリスが、毎月10日はポイント2倍だよと言っている、商店街で良く出ているものである。
「あの看板がどうかした?」
ふーむ。とツェツィリーちゃんが考える。
「このあたり あのにひきの まもの でる きをつけろ?」
すごい、全然違うね!