聖女ちゃん商店街におどろく。
「ごちそうさまでした」
「ごちそさまでした おいしかった」
食事を終え、ツェツィリーちゃんと共に席を立ち、会計を済ませて外へ。
「ありがとうございました」
「こちらこそ おいしかった ありがと ございます」
店員さんの声にツェツィリーちゃんが微笑んで答える。
「はい、またぜひお越し下さい!」
さて、買い物だ。店を出て北、武蔵小山駅前に向かう。
狭い歩道を北へちょっと進むと駅前のロータリーにつく。ロータリーの中央にはピラミッドのような謎のオブジェ。
ロータリーを挟んだ位置には駅、とは言えここを走る目黒線は地下を走っているので、見えるのは4階建てくらいの駅ビルだ。スーパーや無印良品のテナントが入っている。
正面には、おーさまは住んでいない高層建築の『パークシティ武蔵小山ザ・タワー』、3階くらいまでは店舗だ。
そして右手からずっと伸びているのが武蔵小山商店街『パルム』である。
道の両サイドには商店が立ち並び、頭上はアーケード。逆端が見えないほど長く続く。
そして無数の人である。
「ふぉぉぉぉ」
ツェツィリーちゃんが奇妙な声を上げた。
「きょうは おまつり?」
「ちがうよ」
「だれか まおう たおした?」
「何でさ」
話を聞くと、魔王を倒した後の祝賀パレードの時を思い出したらしい。なるほどね。
「じゃあ服買いにいこうか」
「まって」
一歩踏み出そうとした俺をツェツィリーちゃんが呼び止める。
「きょーすけと はぐれる しぬ」
彼女は俺に右手を差し出した。