聖女ちゃんとミートソーススパゲティ。
「見せなくていいからお食べ」
ツェツィリーちゃんは頷くとミートソースの絡んだスパゲティを口に運ぶ。桜色の唇の中に麺が入り、口からはみでた麺の端をフォークで押し込む。
もぐもぐ…もぐ……もぐ………もぐ…………。
ツェツィリーちゃんの頬がゆっくりと笑み崩れる。
喉がこくりと動く。
こちらを見あげて言う。
「きょーすけ おいしい」
満面の笑みである。
「それは良かった」
フォークを慎重に動かし、今度はちゃんと適量を取って口へと運ぶ。
もぐもぐもぐ。
ごくん。
こちらを見上げる。
「いっぱい おいしい」
満面の笑みである。俺は頷く。
いや、いちいち報告せんでいいんだよー。って俺がそっち見てるからか。
ツェツィリーちゃん美味しそうに食べるからなぁ。つい見てしまう。
俺もフォークを動かす。美味い。
ツェツィリーちゃんはあれだな、グルメ番組に起用すればきっと大人気だよね。
半分くらい食べたあたりでこちらのクリームスパゲティも味見させてみるかと声をかける。
「ツェツィリー」
「はい きょーすけ」
「…………ぷっ」
振り向いた彼女の頰に跳ねたミートソース。
「きょーすけ たのしい?」
首を傾げて言う。楽しいよりかわいいよね!
俺は自分の頰を指し示す。
「跳ねてる」
ツェツィリーちゃんが慌てて頰を手の甲で拭おうとするので止めた。紙ナプキン、と言っても分からないかな?1枚取って、頰を拭ってやる。
ガサガサと紙の下に饅頭のような、つきたてのお餅のような柔らかい感触。
これは頰じゃない、ほっぺだね!と謎の主張が脳内に。
ツェツィリーちゃんが顔を赤らめる。
「ありがと」
「どういたしまして、こっちも食べてみてよ」
俺の皿を勧め、彼女に差し出した。
…………隣の客から凄い爆発しろってオーラを感じる!