表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
33/163

聖女ちゃんとフォーク。

 セットのミニサラダを食べながら待つ。


「おいしい はっぱ ひさしぶり」


 ツェツィリーちゃんが俺にしか聞こえないように小さく呟く。ああ、魔界を旅していたと言ったか。


「葉っぱではなく、野菜かな。料理としてはサラダ」


「やさい おいしい」


 『とすかーな』は店が狭い。それ故にカウンターと厨房の距離が近く、料理している様子が良く見えるのだ。

 ツェツィリーちゃんも茹で上がった麺がザルに上げられるのを見つめている。


「お待たせ致しました、ミートソースと」


 俺はツェツィリーちゃんの方を指さす。


「アスパラとベーコンの生クリームです」


 二人の前にスパゲティが置かれる。


 さて、俺は彼女に見えるように、ゆっくりとクリームと麺の境目あたりにフォークを軽く突き刺し、くるくると回転させて麺を巻き取り口へと運ぶ。

 うん。おいしい。


 ツェツィリーちゃんは頷き、気合いを入れて麺にフォークを突き入れ、くるくると回転させ、回転させ…………。


「フォークを差し込み過ぎ」


 どんどん大きくなっていく渦を作りながら、困ったような視線で助けを求めるツェツィリーちゃんの手を止める。

 右手を伸ばして彼女のフォークに手を添え、軽く逆回転させて麺から抜く。


「もっと軽く」


「かるく……」


 フォークの先端を麺に差し込み1回転。そこで手を離すと、ツェツィリーちゃんはそのままくるくるとフォークを回し、きれいに一口分を巻き取った。


 嬉しそうな自慢そうな表情で俺を見上げ、フォークに巻かれたスパゲティを視線の高さに持ち上げて俺に見せるツェツィリーちゃん。


 写真に残しておきたい表情。

 タイトルは『上手に巻けましたー』だな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
i521206
― 新着の感想 ―
[良い点] >写真に残しておきたい表情。 >タイトルは『上手に巻けましたー』だな。 心に残る表情ってのは滅多にカタチとして残しておけませんからねー。 わかるわかる(BGM:髭男「115万キロのフィルム…
[一言] 一生懸命で素直で可愛い女の子は、ほんっとうーにいいですねー、
[一言] >「もっと軽く」 >「かるく……」 何故だろう、凄くドキドキした( ˘ω˘ )
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ