表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
32/163

聖女ちゃんとスパゲティやさん。

 道を眺めて信号のシステムを理解してもらい、26号線沿いを歩いていく。武蔵小山駅の近く、よく考えたらここ南側に交番あるな。


 今は道の向かい、北側を歩いているから特にどうということもないだろうけど、今度から気をつけよう。


「ツェツィリーのいたとこって、パン以外に麺とかはあった?スパゲティとかラーメンとか」


「なまえ ちがう でも めん りょうり あった」


「麺料理どう?」


 彼女は力強く頷いた。


「たべたい」


 駅に近づくに連れて人も増える。やっぱりツェツィリーちゃん目立つよね。この辺りは外人さんも結構いるけど、どう見ても美人だしなぁ。

 男だけじゃなくて、女性も注目している気がする。


 26号線から駅前のロータリーに向かう道を折れる。駅前にたどり着く前に、スパゲティ専門店がある。雑居ビルの1階、うなぎの寝床みたいな長細い店『とすかーな』だ。


「ん、そうだ。ツェツィリーって文字は読めるの?」


「しんせいご ふくざつ かいわ できる よみかき むり」


 んー、日本語は文字が複雑だよなぁ。というか神聖語と言ったか?

 ……まあいいや。先に店に入ろう。


「いらっしゃいませ!」


「2人。あいてます?」


「はい、カウンターの奥どうぞ!」


 店の中を覗く。ランチタイムだが、ちょうど一番奥の席が空いているようだ。

 店に入ると入り口側の4人がけの座席に座っていた男性客がツェツィリーちゃんを見てびっくりしたような顔をする。

 彼女を俺の体で隠すように前に行かせて、カウンターの一番奥の席に座らせ、俺がその手前に座る。これで店の構造上ほぼ店員にしか顔が見えまい。


「注文はこっちでしちゃっていい?」


「おねがい」


 この店のお勧めは『日本一おいしいミートソース』である。いや、本当に日本一美味しいのかは知らないけど。商品名が『日本一おいしいミートソース』なんだよね。実際美味しい。俺は別のにして味見させるか。


「ミートソースとアスパラベーコンの生クリーム。どちらもスープセットで」


 ツェツィリーちゃんは俺の隣の客の食べている様子をじっと見ている。


「めんを まいて たべる…… むむむ」


 そうか、麺料理あっても食べ方違うことはあるよなぁ。

 耳元にそっと話しかける。


「やれそう?」


「じっせん あるのみ」


 なぜ男らしいのか。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
i521206
― 新着の感想 ―
[一言] >耳元にそっと話しかける。 >「やれそう?」 >「じっせん あるのみ」 何故だろう、凄くドキドキした( ˘ω˘ )
[一言] >「じっせん あるのみ」 >なぜ男らしいのか。 え?私は可愛らしいと思ったのです。
[良い点] 「神州謹製言語」故、「しんせいご」でオケー♪ (笑) [気になる点] ……「ボロネーゼ(ボロネーズ)」では無く「ミートソース」から漂う20世紀臭。 今でも個人経営のお店だと「ミートソース…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ