聖女ちゃん髪を乾かされる。
あとはジーンズの裾を折って…………身長で15cmくらい差があるかと思うが、折り返すのがほんの僅かであるという悲しみよこんにちは。
いや、別に俺が胴長という訳ではないんだが……。
「良し。まあこれで職務質問されるようなことはないはず」
「ありがと きょーすけ」
頭を下げられるが、髪が重そうである。ああ、タオルで拭っただけじゃん。
ドライヤーと櫛、あとスタンドタイプの『ダイソー』で買った10cm程の鏡を洗面所から持ってくる。俺は普段ドライヤーあまり使わないんだけどな。
「ここすわって」
ツェツィリーちゃんをパソコン用の椅子に座らせて、後ろに回る。
「ちょっと髪の毛触ってもいい?」
「はい」
ブオォォーー。
ドライヤーのスイッチを入れるとその音にツェツィリーちゃんはビクリとする。
温かい風を当てると一瞬驚き、すぐに笑みを浮かべた。
空気を入れるように髪を持ち上げ、風を当ててくしけずってゆく。
「むふー きもちいい
きょーすけ まほう ちがう いう でも すごい」
「喜んで貰えて何よりだよ」
しかし髪の毛触ってるけど凄いなこれ。
さらっさらやで、さらっさら!
「終わったよ」
エンジェルラダー……ちがう。エンジェルリングか。
髪が部屋の明かりを反射してキレイに輝いている。白金に僅かに朱を刷いたような色合い。
鏡を渡す。
「おおお すごい きれい なった ちのにおい しない よごれ ない」
うん、戦いの後、汚れていてもあれだけきれいだったのだ。そりゃあ磨けばと思うが。
「ヤバい」
「やばい?」
「ツェツィリーが凄く綺麗ってこと」
ツェツィリーちゃんはこちらに振り返り、満面の笑みを浮かべてみせた。
これはいかんね。心臓がもたないぜ。