聖女ちゃん洗われる。
何度も頭にお湯をかけ、泡がなくなったあたりで声をかける。
「ちょっと薄目あけて上向いて」
全裸金髪巨乳上目遣い美少女……!
脳内に浮かんだ漢字の羅列を飲み込み、声をかける。
「ちょっと我慢しろよ」
今度はそっと目にお湯をかける。何度か繰り返し、目に入ったシャンプーを洗い流す。
「どうだ?」
「いたく なくなた ありがと きょーすけ」
なぜ感謝を示そうとして手を祈りの形にしようとする!なぜ胸を隠してるのを忘れるのだ!
慌てて肩に手をつき、くるりと背中を向けさせる。
「……む」
彼女の背中をはじめて見る。
そこは血塗れであった。大量の血が固まり、それがお湯で少し溶けて流れ、白い肌との斑になった状態。
「これは……痛みはないのかい?」
「だいじょぶ なおってる
くびかりのかま まじんの まほう うけた」
……頸狩りの鎌かな。そうか、朝見た首元の血痕。これか。
なんでこんな子がこんな大怪我負ってるのかなぁ。
「ツェツィリー、背中の血を洗わせて貰ってもいいか?」
「お おねがい しましゅ!」
石鹸をスポンジに。泡でもこもこにする。背中をスポンジで優しく撫でる。
「ひゃあぁぁぁ…………」
ちょっと強めに。
「あっ…………ん…………」
血と垢がかなりぼろぼろ落ちていく。魔法で浄化していたとしても、風呂とかに入れないと垢とか溜まるんだろうか。
「ひゃん……」
凄い。皮膚白い。それと、全体的に柔らかい体だと思ってたが背中の筋肉の密度がやばい。
「んっ……」
杖や籠手を武器に打撃で戦っていたのが明らかだ。女の子らしい皮膚と脂肪の下に、しなやかで強い筋肉がある。えーとあれだ。脊柱なんとか筋。背中の中央、背骨にそって縦に艶めかしい凹みが走って……じゃねーよ!っていうかそもそもウェストの括れ!尻!
いや、マジで何やってるんだ俺?
ツェツィリーちゃんもなに洗わせてるんだおい!
「ん、こ、ここまでだ。前は自分でやってくれ」
「ん あ あの ありがと」
ツェツィリーちゃんは顔だけ振り返り、上気した顔で礼を言う。
「……あと かみのけも おねがい いい?」
このあと滅茶苦茶シャンプーした。